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田中フルハウス 8話
「いいじゃんケチ、減るもんじゃありまいし」
怒る東雲に言い返すモモは絶対に悪いとは思っていない。
「実名を出すなって言ってんの!」
「じゃあ実名じゃないならいいんだね」
ニヤリと笑うモモ。
「そうじゃないだろ!こんなん会社の誰かが読んだら誤解するだろ!」
「誰もコミケとか行かないって、ね~それより構図困ってんの。脱いで」
「はあ?バカかお前は!いやバカだろお前!何で脱がなきゃいけないんだよ、だいたい俺が怒ってる理由理解してないだろ!」
東雲は感情むき出しでモモに怒る。
「別にチンコ見せてとか言ってるわけじゃないし、照哉さんと絡んでくれたらイラスト描きやすいし、話のネタも作れるし」
モモは怒る東雲にもう慣れている様子で彼の怒る理由すら考えていないようだ。
「ああ、もう!照哉さんもこのバカになんとか言って…」
と照哉を見ると、幸太と健太の3人でモモが作った同人誌を見ている。
「モモちゃん、俺が攻めなん?…俺どっちかっていうと何もしたくないタイプなんだよね。俺を気持ち良くしろよ的な?」
「えー、照哉さん見た目攻めなんだけどなあ。えー、東雲って絶対的に受けっぽいからさあ」
照哉の言葉にモモはうーんと唸りながら腕を組んでいる。
「ね~俺出てこないの?ほら、三角関係っぽくさ」
幸太は不満げにモモを見る。
「あ~幸太は別の話で出したいんだけどなあ。三角関係も良いよねえ」
「でも、照哉さんってマグロタイプなんっすね~」
と健太。
「俺、騎乗位とか好きだもん。おら、もっと動けよって命令すんの」
「あー、ソレいただき!ドS照哉さんに罵声浴びながらエロい事する東雲…」
ゴツッ…
「いたあーい、何すんの東雲!」
自分を無視して話が進んで行く事に耐えられない東雲はモモの頭にゲンコツを落とす。
「話聞けばーか!」
東雲はモモの耳元で叫ぶ。
「もう、ウルサいなあ東雲は!」
モモは耳を押さえながら東雲を睨む。
「もうお前ら出てけ」
東雲の怒りはマックスに達していた。
「しのめさん、腹が空いとるとです。攻めとか将棋の話ですか?よう分からんですけど…」
英雄氏がお腹を押さえながら発言する。
「味噌チゲタベルカ?」
ユナは台所でグツグツ煮えている味噌チゲをテーブルの上に用意されているカセットコンロに鍋を置く。
「おおっ、凄かですね!食べて良かとですか?」
英雄氏は箸を手にワクワクしている。
「美味そう」
双子も同じく箸を持ちワクワクしている。
「だーかーら、話を聞け!」
味噌チゲを仲良く分け合う全員に東雲は怒鳴る。
「東雲、マッコリ飲メ」
ユナは東雲の腕を引っ張り座らすとマッコリを飲ませた。
「キムチモ食エ」
「ユナさん、キムチ美味いです」
健太はキムチを食べながらユナに笑いかける。
「実家カラ、送リツケラレタ」
「ユナちゃん、送りつけられたんじゃなく、送ってくれたが正解」
モモは言葉を正す。
「ソウカ?」
「こげん美味かキムチば食べたとは初めてばい。」
英雄氏も美味しそうに食べている。
「ヨカッタナ」
ユナは頷く。
「な~、そんな事より東雲ダウンしてるけど?」
マッコリを飲んだ東雲は照哉に寄りかかり熟睡中。
「東雲、黙らせるのにはアルコールが一番よね」
モモは味噌チゲをおかわりしながら言う。
東雲は酒に弱い。
それを全員が知っているので、怒りまくる東雲を黙らせる手段として毎回アルコールが使用されるのだ。
「モモ、チャンスダロ?」
ユナがモモをチラリと見た。
「あ~そうやね。照哉さん、東雲脱がせてよ」
モモは手に携帯を持つ。
「全部?」
照哉は東雲をその場に寝かせるとシャツのボタンを外し出す。
「とりあえず上だけ、で、照哉さん東雲の上に乗ってくれる?」
シャツを脱がされる様子をモモは写メとムービーを交互に撮影している。
「東雲さんって着痩せするタイプなんですね」
健太が言う通り、上半身裸の東雲の身体は意外と筋肉質だった。
「東雲ってさ、黙ってたらイケメン、寝顔可愛いじゃん!ハアハアしちゃう」
モモはパシャパシャと携帯で写真を撮りまくる。
「で、幸太まで何で撮ってんだ?」
モモの横で写真を撮る幸太に健太が突っ込みを入れる。
「幸太もハアハアしちゃった?」
モモの言葉に幸太は頷く。
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