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田中フルハウス 9話

モモと幸太が写メを撮る中、照哉は東雲の上に馬乗りになり彼女に言われるままの構図を取る。 モモが寝顔萌と言う通り、照哉も東雲の顔をマジマジと見つめ、前髪と眼鏡に隠された整った顔に納得した。 勿体無ねえ… 照哉は指を前髪に絡めかきあげる。 何で綺麗な顔を隠すように地味な格好をしているんだろう? 東雲がしている眼鏡は度が入っているから、必要でしているのだと分かるが… 自分がこの顔ならもっと、目立つような格好をするのになあ。と東雲の眼鏡を外して傷をつけないように近くに置く。 「もう良いモノ見れてモモはサイコーだよ。綺麗な男同士の絡みって何でこうもハアハアくるのかな?」 髪をかきあげ、眼鏡を外す照哉の行動にモモは興奮気味に写真を撮りまくる。 「ソレハ、モモガ、腐女子ダカラ」 ユナは英雄氏に味噌チゲのおかわりをつぎながらに言う。 「だよねー、で、幸太も腐男子なん?ハアハアしてるけど?」 モモは同じく東雲の写真を興奮気味に撮る幸太に聞く。 「腐男子じゃないけど東雲さんにはハアハアくる」 「あ~わかる!なんか受けの要素いっぱいあるもんね」 モモと幸太は気が合うようだ。 照哉の行動は次第にエスカレートしていき、東雲の首筋に唇を這わす。 「きゃー性的興奮しちゃーう」 モモははしゃぎながら写真を撮る。 「ちょっと!やり過ぎです」 怒りながら幸太は照哉を東雲から引き離す。 「ちょっと!幸太、邪魔しないでよ」 今度はモモが怒りながら幸太を突き飛ばした。 「これ以上はだめ!」 「じゃあ、3P構図してよ」 モモの言葉に幸太は顔を真っ赤にして、 「こんな、こんな人前で…見られながらヤルのは流石に恥ずかしいし、それに俺は東雲さん襲うより襲われたいつうーか、それに照哉さんも東雲さんに入れちゃうのは嫌だし、やっぱ二人だけで」 ゴツンッ! 「イターッ」 顔を真っ赤にして、興奮気味に話す幸太の頭にゲンコツを落としたのは照哉。 「落ち着けよバカたれ、誰がマジでエッチしろって言ってんだよ。ただの構図だろーが」 照哉の言葉に幸太はさらに顔を赤くした。 「受け的発言する幸太にはガッカリよ!つまんねえ」 モモはふてくされて幸太を見た。 「なんだよガッカリって」 「その金髪にピアスはタダの飾りってわけか!攻め的ルックスをして私を騙してたわね!」 モモの責め立てに幸太は、 「別に騙してねーし!」 と膨れっ面で反論する。 「受けばっかは要らないの!アンタは却下ね」 「却下って?」 「これからの話に幸太も出そうかと思ったけど、受けは要らないの!」 「え~、何だよソレ!」 そんな下らない二人の会話を余所に、英雄氏達は味噌チゲを平らげていた。 *********** ブブブッ、ブーッ、 携帯のバイブで東雲は目を覚ます。 手探りで携帯を捜し、手に取る。 眠い目でなんとか携帯の表示を見ると、部長と表示されている。 「…もしもし…」 寝起きの声で対応する東雲の耳に飛び込んで来たのは、 「しーのーのーめぇ~」 低い聞き覚えのある声… 表示された携帯の主の部長の声とは違うモノで、それは…  「会長!」 一瞬で眠気が覚める声だった。  「俺の電話にはワンコールで出ろって言ってるだろーが!」  部長の携帯を使ってるのにそれは無いだろ?なんて理不尽さにイラッとも来るが、そんな事なんて通用しないのが彼。 「ワンコールで出なくて申し訳ありません」  と悪くもないのに謝らなくてはならない。  「今から10分以内に会議室に来い!」 それだけ言うと電話は切れた。 電話が切れた後、茫然なんてしていられない。 いくら寝起きで頭が回らなくても即行動しないと間に合わない事を知っているので、東雲は既に立ち上がり用意を始める。 周りにモモ達が無造作さに寝転がって熟睡している上を跨ぎながら何故かパンツ1枚だった自分の姿に考える余裕もなく、服を着る。 財布を手に部屋を出るまでに電話から2分弱。 会議室までには間に合わないとは分かっているが、諦めて時間を大幅に過ぎるより、兎に角…10分以内を少しでも過ぎない事に集中しないと命がないのだ。 車なんて持っていない東雲の会議室に着いたのは10分を少し過ぎていた。 「しーのーのーめぇ」 会議室のドアを開けた瞬間に名前を呼ばれた後に力強いパンチが東雲にヒットした。

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