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鬼畜ですが、何か?
力強いパンチに身体が空を舞い床に叩きつけられる。
床に身体が倒れて殴られた場所に激痛が走っても、何時までも転がっているわけにもいかない。
痛いとか言う前に東雲は身体を起こし、床に張り付くように土下座をした。
「ワンコールで出なかった上に10分以内に来なくて申し訳ありません」
理不尽とか矛盾とかそんな一般常識な言葉が通用する相手ではないの身体を通して分かっているから自然と体が土下座をするのだ。
まさに弱肉強食。
生きる術を身につけている。
「よく分かってんじゃねーか東雲」
東雲を殴った会長は土下座する東雲の襟首を掴み立たせる。
「うん?眼鏡はどうした?」
東雲も言われて気付いた。
会長は東雲をジッと見つめ、
「女と寝る余裕があるとは良い度胸だな東雲。ワンコールで出なかったのも遅れたのも女とヤッてたからか、ん?」
会長の言葉に東雲はキョトン。
「なにを…言って…」
「首に付けられてるのも気付かないくらいに夢中だったのか?」
キョトンとする東雲のシャツを力強く裂くと首から鎖骨にかけて肌が露わになる。
「お前、店の女の子に人気あったよなあ。まさかとは思うが商品に手を出してねーだろうな?」
会長は薄笑いを浮かべ東雲の頬を手のひらでペチペチと叩く。
薄笑い…
本気で怖いと東雲は震えがくる。
会長は190センチにK1選手のような体格。
見た目30代前半だが、年齢不詳。
女性にも男性にもモテるような整った顔立ち。
顔が整っているが冷たい感じがする。
彼が薄笑いする時は本気で怒っている時で、薄笑いを浮かべられた人物の所在地は不明という恐ろしい都市伝説がつきまとう。
殺 さ れ る
東雲の本能がそう訴える。
ワケが分からない!
何故に自分が薄笑い浮かべられているんだろう?
女と寝た?
商品に手を出す?
恋人は過去に居たが現在は居ないし、店の女の子にも手を出した事もない。
そもそも、どうしてシャツを裂かれているのだろう?
東雲は頭が真っ白になり、どうして良いか分からなくなっていた。
「そのキスマーク付けたは俺です」
真後ろで照哉の声がした。
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