13 / 135

鬼畜ですけど、何か? 4話

「会長は?」 「会議中、で、あの荷物全部お前にって」 照哉が指差す方向にさっき会長が選んだスーツが入った紙袋が置かれている。 これもヤバい! 借金いくらだよ? ただでさえ借金あるのにぃぃ! 断りたい! 断らなければ! 東雲はフラフラと立ち上がる。 「ちょ、お前どうしたんだよ」 照哉は慌てて東雲の身体を押さえる。 「か、会長に…」 「お前、熱あんだぞ」 「会議に…」 照哉がいくら止めても聞かないので、仕方なく東雲を支えながら会議室へと向かう。 *********** 会議室と名付けられたホールには沢山の人々が集まり会長の話に歓喜の声を上げていた。 「俺の言う事は絶対だ!俺が会長だーっ」 会長の声に合わせ人々が声を張り上げる。 「相変わらず会長は…」 照哉はマイクを持ちパフォーマンスをする会長を見ながら苦笑いをする。 すぐ近くのイスに東雲を座らせていると部長が近付いてきた。 「東雲寝てなくて良いのか?」 「なんか会議に出るって聞かなくて」 照哉が代わりに答える。 「本当、お前真面目だよなあ」 部長は苦笑いをしている。 照哉は誰かの気配に気付き振り向くと、近付いてきた誰かの名前を口にする。 「会長…」 照哉の言葉に東雲は顔を上げた。 会長がいつの間にか近くに来ていた。 「照哉、連れて帰れ」 「はい。」 照哉が東雲を立たせようとすると、 「会長、俺…」 金無いんでスーツはお断りしたいんです。と続けたいが、また目の前が真っ暗になった。 ◆◆◆◆◆◆◆◆ 「え!東雲、会長の部屋に居るの?」 モモは目をキラキラさせながら照哉の話を聞いている。 「何故に目をキラキラさせてんだよモモ」 幸太が聞く。 「だって!会長はバイセクシャルだよ。しかも攻め!」 「せ、攻め!」 幸太は焦り出した。 「確かに会長ってすげえって聞くなあ。」 「チンコデカいって聞くし」 「デカいの?マジで?」 モモのデカいと言う言葉に幸太はさらに焦る。 「会長ってイケメンですよね。会長だけあって金持ちだし、このスーツとか会長からのプレゼントなんでしょ?やっぱ、イケメンで金持ちってモテ要素だよね」 健太の言葉にも幸太は焦る。 「腹が空いたとです」 英雄氏の言葉に幸太は睨む。 「味噌チゲ食ウカ?」 ユナはまた大量に作った味噌チゲを出す。 「食うです」 英雄氏はユナから味噌チゲをついでもらう。 「会長、東雲さんに手を出さないですよね?」 幸太は心配そうな表情をする。 「東雲さん、病人なんだから手出さないんじゃない?」 健太のフォローに幸太は、そうだよね。とそうであって欲しいと願う。 「でも、看病されて東雲はコロッと恋に落ちたりしてさ!ほら、普段厳しい人から優しくされたらギャップにコロッといくじゃない?俗にいうギャップ萌」 モモの言葉に幸太はまた不安そうな顔をする。 「看病中にさ…会長が東雲に薬のませようとしたら、嫌がるから口移して無理やり薬のませたり、座薬入れるとか言いながら俺の座薬の方が気持ちいいぜ、とか言って東雲はハアハア言いながら会長の座薬を受け入れてさ」 「座薬…」 モモの妄想に幸太はさらに顔を青ざめさせる。 「東雲、病院から座薬出されてたな」 照哉の呟きに幸太は涙目に。 「あ、思い出したけど、ウチの本店の店長のユウヤさんってさ、元は凄い女好きだったけど、会長にヤラレてから男に目覚めたって聞いた」 と健太も思い出したように言う。 「あ~、言ってたね。会長野獣だったって!やっぱチンコデカいんだな」 とモモ。 「で、デカいの?やっぱ、デカいのがいいの?」 幸太は涙目でモモに聞く。 「そりゃあ、デカい方が良いでしょ?何?幸太小さいんだ?」 モモはニヤニヤしながら聞く。 「幸太、デカさハ気ニスルナ、ヨウハ膨張率ダカラ」 ユナは幸太の肩を叩き、慰める。 「そがん、しのめさん好いとうとなら、会長の部屋に行って助けたら良かですばい。そいで、告白すると良かです」 英雄氏は味噌チゲを食べながら幸太を元気づける。 「ここここ、告白?」 「何かニワトリがおるですばい」 英雄氏のことばに幸太の声は裏返り、ニワトリのようだった。 「オレが東雲さん好きって?バレてんの?」 幸太の今更なカミングアウトに全員がポカンとなる。 「え?幸太、気付かれてないと思ってたん?」 健太が信じられないという表情で幸太をみる。 「今更ーっ」 モモ、ユナ、照哉の声が揃う。

ともだちにシェアしよう!