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純情な感情 6話

くちゅ、…くちゅ、 絡んでくる舌が出す粘着質みたいな音。 「ん…ふう……」 幸太の声が漏れる。 き… 気持ちいい… どうしよう、俺…東雲さんが好きなのに! 唇が離れ、目の前にユウヤの顔。 「凄く気持ち良さそうな顔だね。もっとして欲しい?」 頷きそうになりながら、幸太は首を振る。 「お、俺は…」 「東雲が好きなんだろ?だから、東雲は諦めなよ」 諦める? なんで? なんで俺はこの人にキスされて、しかも諦めろなんて言われてるのだろうか? それに…キスは初めてだったのに。 「ユウヤさんのばかあ…俺、キス初めてで初めては東雲さんとって決めてたのに、なんで、なんで、1stキス奪ったあげくに諦めろって言うんだよお」 幸太は泣き出してしまった。 二十歳の男がキスも初めてで、人前で泣く。 ユウヤは幸太を押さえていた手を離すと抱きしめた。 「う~、離してよ」 ジタバタと暴れる幸太を軽く抱き上げると、勝手知らずの幸太の部屋へと連れて行った。 泣きじゃくる幸太をそのまま床に押し倒した。 「やだ!やだってば!」 何をされるか幸太にも分かる。押さえつけられた手を必死に動かすがユウヤより一回り小さい彼、逃げられない。 「東雲、…もう会長の次の恋人になってるよ」 「えっ?」 幸太は目を見開きユウヤを見た。 「会長から電話があった…新しい恋人と今からセックスするから、お前はもう自由だって…」 「うそ…東雲さんなの?」 「そうだと思うよ次のターゲットは東雲だったから…俺はおはらい箱で幸太も失恋したわけだよ」 「う、嘘だもん!東雲さんは…ノンケで」 「俺だってノンケだったよ。でも会長に無理矢理やられてからは…だから東雲も会長にその内溺れる」 「嘘だもん!信じないからな!ユウヤさんのばーか!」 精一杯の悪態。 バーカ、にユウヤはつい笑って、次の瞬間泣き出した。 「俺だって…信じたくないよ。会長は…俺の事、本気じゃないくらい知ってた…でも…」 ユウヤは幸太を解放すると、膝を抱えて泣いている。 起き上がり、幸太は逃げる事もせずにユウヤの側に行き、彼の頭を撫でた。 ユウヤは新人だった頃から凄く優しくて、頼りがいがあって… だから、ほっとけない。 頭を撫でていると、 「そんな事してたらチュウするからな」 ユウヤは顔を伏せたままに言う。 それでも撫でるのを止めない幸太の手を掴み、ギュッと抱きしめた。 「襲うぞバカ」 「だって…泣いてるし」 「泣いてねーし」 ユウヤは幸太をきつく抱きしめる。 「ユウヤさんが泣いてるのビックリした。いつも堂々としてるし、女の子にも人気あるし」 そう、いつもユウヤは堂々としてた。  高いブランド物を身につけ、高い車に乗り、  でも、1番大事なモノは手に出来なかった。 お金よりも、ブランドよりも… ユウヤは会長の愛が欲しかったのかな? 「俺だって純情な感情くらいあるよ。幸太みたいに…本当は純情なんだよ」 抱きしめる腕から伝わる震える気持ち。 「幸太だって、失恋になるんだからな!」 そう言われてハッとした。  そ、そうだ!東雲さん! 「か、会長に食われたんですか東雲さん」 「多分な…」 その言葉で今度は幸太が泣き出した。  ふえ~ん、と声を上げて。  ユウヤは抱きしめたままに頭を撫でた。 グスグス泣く幸太から離れ彼の顔を見る。  子供みたいに泣きじゃくる顔。  「すげえ可愛いな幸太は…」 そう言うとユウヤはまたキスをする。 幸太は抵抗するのも忘れ、ユウヤの背中に手を回す。 そのまま押し倒され、ユウヤにキスを何度もされる。 「幸太…失恋した者同士…気持ちよくなろうよ」 「えっ?」 見下ろすユウヤは綺麗で…涙で潤んだ目に吸い込まれそうだ。 「俺、慣れてないし…初めてだし、それに…やっぱり…しのの…」 めさん…に。  なんて言わせて貰えず、キスで塞がれた。  ユウヤの手は幸太の服を脱がしていく。  う… やばい、震えてきた… 幸太は次第に怖くなるがユウヤの深いキスを拒否出来なかった。

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