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嘘と本音 3話

**** 東雲、やっぱ…お前が好きだ。 空耳じゃないよね? 照哉に言われた言葉が頭から離れない。 好きって、恋愛の好き? 友情の好き? 東雲はずっと、その事を考えていた。 「しーのーのーめぇ」 真後ろから会長の声。 途端に背中が寒くなる。 「病人は寝てろって言ったよなあ?俺に逆らうのか、あっ?」 東雲はキッチンで料理を作っていたのだ。 「いや、あの、その、もう大丈夫!大丈夫なんです!」 東雲は振り向き弁解をする、が、会長の手が伸びてきて、つい、ビクンとなり目を瞑った。 殴られる! そう覚悟した。 「いきなり目を閉じるたあ、キスでも待ってるのかお前は!」 と会長の手は東雲の顔にいくと、顎を掴まれて、そのまま上に上げられる。 「ちょ、ちが、違います」 東雲は慌てて目を開ける。 「キスくらい減るもんじゃねーだろ?」 会長のもう片方の手は東雲を引き寄せる。 か な り や ば い ! 東雲は逃げたくてたまらない。 「や、あの、俺、料理中だし」 かなりテンパって逃げる理由を捜す。 「料理終わったら、食っていいのか?」 「えっ?それは、それは嫌です!」 殴られるのを覚悟して、東雲はそう言った。 「ち、腹減ってんのよによう。じゃあ、誰に作ってんだ?」 「へ?」 東雲はキョトンとなる。 「へ?じゃねーよ、その雑炊の事だよ」 「えっ?あっ、これは照哉さんに」 あれ?食うって料理? 東雲はてっきり自分をだと思い込んでいたが、どうやら違うらしい。 「照哉?病人に飯作らせてるのかアイツは」 会長は舌打ちする。 「いえ、照哉さん熱があって」 「熱?」 「はい。…あの、会長…そろそろ離してください」 東雲の背中に回された会長の手、キスをしそうに顎を上げられたまま。 なんだか…このまま食われそうで怖い。 東雲の心の声が聞こえたかのように、 「お前はまだ食わねえから安心しろ」 と言われ、ようやく解放された。 誰かが額に手をあてている感覚で照哉は目を開けた。 東雲? なんて期待したが、目に映ったのは会長。 ガッカリ感と舌打ち。 「起きていきなり舌打ちか照哉、お前は本当に可愛くねえな」 「舌打ちされる事してるから仕方なくないですか?」 冷静な照哉の反応に会長はニヤリと笑う。 「熱計ったのか?」 「計りませんよ、面倒くさい」 照哉は会長を避けるように横向きになり背を向ける。 会長は背を向ける照哉の肩を掴み、仰向けにすると、 「顔可愛いくせに性格は可愛くねえよなお前」 そう言って照哉の唇にキスをする。 そのまま熱い身体を触ってくる会長。 「汗かけば熱下がるんじゃねーの?」 会長はそう言うと照哉の上に馬乗りになる。 「やるんなら早めに終わらせてくださいね、ダルいから」 照哉は無抵抗で答える。 「ち、無抵抗かよ!しかもダルいとか言いやがって」 会長は照哉が着ているシャツを脱がしていく。 首筋を舐められる。 もう…本当に面倒くさい。 ダルいのに、変態野郎! 照哉は目を閉じた。 いっそ、寝ているうちに終わっていれば良い…。 そう考えてしまう。 ****** 「照哉さん大丈夫?」 東雲の声で目を開けた。 あれ?会長は? ボンヤリとした視界には東雲が映る。 「東雲…会長は?」 つい、聞いてしまった。 「会長なら仕事。さっきお医者さんがね解熱剤うってくれたんだけど、それでも下がらないなら病院連れて来いって言ってました。」 「へ?医者?」 照哉はキョトンとなった。 ついさっき、会長に寝込みを襲われたのに。 「昨日から熱下がらないから会長が呼んだんです」 「昨日?あれ?」 どうも会話が噛み合わない。 「照哉さん、熱高かったですから。会長が看病してましたよ。汗たくさんかくから着替えとか」 着替え? そういえば、着ていた服が変わっている。 あれ?じゃあ…寝込み襲ったんじゃなく着替え? 全く、鬼畜なのか優しいのか分からない人だ。 でも、 優しいわけじゃない。 優しいなら無理やり抱かない。 やっぱ鬼畜だあの人は。 嫌いだ。会長なんて。

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