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嘘と本音 3話
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東雲、やっぱ…お前が好きだ。
空耳じゃないよね?
照哉に言われた言葉が頭から離れない。
好きって、恋愛の好き?
友情の好き?
東雲はずっと、その事を考えていた。
「しーのーのーめぇ」
真後ろから会長の声。
途端に背中が寒くなる。
「病人は寝てろって言ったよなあ?俺に逆らうのか、あっ?」
東雲はキッチンで料理を作っていたのだ。
「いや、あの、その、もう大丈夫!大丈夫なんです!」
東雲は振り向き弁解をする、が、会長の手が伸びてきて、つい、ビクンとなり目を瞑った。
殴られる!
そう覚悟した。
「いきなり目を閉じるたあ、キスでも待ってるのかお前は!」
と会長の手は東雲の顔にいくと、顎を掴まれて、そのまま上に上げられる。
「ちょ、ちが、違います」
東雲は慌てて目を開ける。
「キスくらい減るもんじゃねーだろ?」
会長のもう片方の手は東雲を引き寄せる。
か な り や ば い !
東雲は逃げたくてたまらない。
「や、あの、俺、料理中だし」
かなりテンパって逃げる理由を捜す。
「料理終わったら、食っていいのか?」
「えっ?それは、それは嫌です!」
殴られるのを覚悟して、東雲はそう言った。
「ち、腹減ってんのよによう。じゃあ、誰に作ってんだ?」
「へ?」
東雲はキョトンとなる。
「へ?じゃねーよ、その雑炊の事だよ」
「えっ?あっ、これは照哉さんに」
あれ?食うって料理?
東雲はてっきり自分をだと思い込んでいたが、どうやら違うらしい。
「照哉?病人に飯作らせてるのかアイツは」
会長は舌打ちする。
「いえ、照哉さん熱があって」
「熱?」
「はい。…あの、会長…そろそろ離してください」
東雲の背中に回された会長の手、キスをしそうに顎を上げられたまま。
なんだか…このまま食われそうで怖い。
東雲の心の声が聞こえたかのように、
「お前はまだ食わねえから安心しろ」
と言われ、ようやく解放された。
誰かが額に手をあてている感覚で照哉は目を開けた。
東雲?
なんて期待したが、目に映ったのは会長。
ガッカリ感と舌打ち。
「起きていきなり舌打ちか照哉、お前は本当に可愛くねえな」
「舌打ちされる事してるから仕方なくないですか?」
冷静な照哉の反応に会長はニヤリと笑う。
「熱計ったのか?」
「計りませんよ、面倒くさい」
照哉は会長を避けるように横向きになり背を向ける。
会長は背を向ける照哉の肩を掴み、仰向けにすると、
「顔可愛いくせに性格は可愛くねえよなお前」
そう言って照哉の唇にキスをする。
そのまま熱い身体を触ってくる会長。
「汗かけば熱下がるんじゃねーの?」
会長はそう言うと照哉の上に馬乗りになる。
「やるんなら早めに終わらせてくださいね、ダルいから」
照哉は無抵抗で答える。
「ち、無抵抗かよ!しかもダルいとか言いやがって」
会長は照哉が着ているシャツを脱がしていく。
首筋を舐められる。
もう…本当に面倒くさい。
ダルいのに、変態野郎!
照哉は目を閉じた。
いっそ、寝ているうちに終わっていれば良い…。
そう考えてしまう。
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「照哉さん大丈夫?」
東雲の声で目を開けた。
あれ?会長は?
ボンヤリとした視界には東雲が映る。
「東雲…会長は?」
つい、聞いてしまった。
「会長なら仕事。さっきお医者さんがね解熱剤うってくれたんだけど、それでも下がらないなら病院連れて来いって言ってました。」
「へ?医者?」
照哉はキョトンとなった。
ついさっき、会長に寝込みを襲われたのに。
「昨日から熱下がらないから会長が呼んだんです」
「昨日?あれ?」
どうも会話が噛み合わない。
「照哉さん、熱高かったですから。会長が看病してましたよ。汗たくさんかくから着替えとか」
着替え?
そういえば、着ていた服が変わっている。
あれ?じゃあ…寝込み襲ったんじゃなく着替え?
全く、鬼畜なのか優しいのか分からない人だ。
でも、
優しいわけじゃない。
優しいなら無理やり抱かない。
やっぱ鬼畜だあの人は。
嫌いだ。会長なんて。
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