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嘘と本音 4話

「照哉さん、俺、医者から大丈夫って言われたんで、明日から寮に戻れます」 東雲は笑顔でそう言うとベッドに手作りのお粥を持って来た。 「そっか、良かったな」 照哉は東雲の頭を撫でる。 「照哉さんが看病してくれたからですよ、ありがとうござまいます!」 「いいよ、礼なんて」 「…だから、次は俺が照哉さんを看病します」 東雲はお粥を食べさせようとスプーンを照哉の手に持たせる。 「看病してくれんの?」 照哉に聞かれ東雲は頷く。 「じゃあ、食べさせて」 照哉は東雲にスプーンを返す。 「えっ?」 東雲は焦るように照れる。 「看病してくれんだろ?」 再度聞かれ、東雲は照れた顔でスプーンでお粥をすくう。 彼の口元にスプーンを近づけると照哉は口を開け、パクンとお粥を食べた。 「美味い。東雲の料理は最高だな」 ニコッと微笑む。 その笑顔が可愛くて東雲は更に照れてしまった。 ううっ、照哉さん可愛い…。 そう思いながらお粥を照哉の口に運んでいく。 でも…照れる…。 照哉は完食してくれて、嬉しくなる。 「照哉さん、次は薬」 東雲は医者に貰った薬を出す。 目の前に差し出された東雲の手の中の薬。 照哉は手を伸ばし、掴んだのは、東雲の腕。 東雲が驚いた時には腕を引き寄せ、東雲を抱きしめていた。 「て、照哉さん」 抱きしめられた東雲は驚くよりも先に照れた。 照哉はぎゅっと東雲を抱きしめると、 「どんな薬よりもこうしてた方が効くんだ」 耳元で囁いた。 「照哉さん、ね、寝てないと」 東雲は抱きしめられたまま、テンパっている。 「声、裏返っているな」 照哉は東雲の頭を撫でる。 「だ、だって」 「東雲…俺が好きって言った事…本気だからな」 耳元で囁かれた言葉に東雲は身体を硬直させた。 「照哉さん…」 どうしよう…。 東雲は困惑した。 好き? 俺を好き? なんて答えたら? そんな事を考えていると、身体がフワリと浮いて、次の瞬間…照哉の下にいた。 「ててて、照哉さん」 照哉に見下ろされた東雲はかなり、テンパっている。 「東雲…」 照哉は東雲の名前を呼ぶと顔を近付けた。  えーーと、 チュウ?  チュウされる?  東雲は思わず目をぎゅっと瞑った。  閉じた瞳に唇が押し当てられる。  柔らかい感触と温かさ。 照哉の唇はまぶたから、額へと移り…耳たぶをしゃぶる。  「あっ、…照哉さ…ん」 待って…  いや…………………、  じゃないかも?  舐められる場所はすぐに熱を帯び、気持ちよさが先にくる。  あれ?  俺、男に女の子みたいな扱いされてるのに、 なんで?嫌じゃないのだろう?  「東雲、好きだ…」 耳元で何度も囁かれる言葉は子守歌みたいで心地良い。 照哉の唇は頬にキスをして、  次に…唇。  軽く数回押し付けられた後に、東雲の口内に照哉の舌が挿入された。  「ふっ……あっ」 クチュと舌が絡むと東雲は声を漏らす。  照哉のキスは優しい。  「んっ…」 長いキスのあと唇が離れた。  「東雲、抵抗しないんだな…それって、抱いて良いって事?」 照哉は東雲を見つめている。  照哉の瞳の中に映る自分の姿。  照哉さん…やっぱ、綺麗だなあ。  照哉の瞳に吸い込まれそうだ。  「嫌なら嫌だと言わないと先に進むぞ」 そう言い放った照哉の唇をつい見つめた。  柔らかくて熱い唇。  また…触れてみたい。  東雲は両手を伸ばし、照哉を引き寄せた。  「しの…んっ、」 引き寄せられた照哉は驚いたように彼の名前を予防としたが、唇が重ねられて東雲が舌を絡ませてきた。  照哉の首に回された東雲の両手。  東雲から絡ませてくる舌。  抱いて良いんだな。  照哉はそう解釈した。

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