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嘘と本音 5話

東雲の首筋に吸い付く。 「あっ…」 反応するように東雲は声を漏らす。 体重がかかり照哉の息づかいを首筋に感じくすぐったい。 「照哉さんくすぐったい」 我慢出来ずに思わず言葉にした。 でも、照哉の反応はない。 それと同時に全体重が東雲の身体にかかる。 「照哉さん、重い、照哉さん?」 何度呼んでも反応がない。 「照哉さん?」 彼の身体をゆする。 あれ?照哉さん? 照哉の様子がおかしいと気付いた東雲は照哉の身体をどかそうとする。 ふいに軽くなった。 照哉が自分を脅かそうとしたのかと思った。 でも、「熱あるくせに無理するからだ」会長の声。 照哉の身体を持ち上げたのは会長だった。 「か、会長」 東雲は一気に血の気が引き、すぐに恥ずかしさで顔が赤くなる。 「面白いな、青くなって赤くなるとか器用だな」 会長はニヤニヤしている。 東雲はすぐにベッドを降りた。 「氷枕作ってこい」 会長に命令され、東雲は慌てて氷枕を作りに行った。 会長は照哉を仰向けに寝かせ少し息づかいが荒い照哉の額を触る。 汗ばむ額。熱が上がっているようだった。 枕元に薬が落ちているのを見つける。 「ち、飲んでねえのかクソガキ」 薬を拾い上げると、照哉はうっすらと目を開ける。 ち、会長が視界に入った瞬間に照哉は舌打ちした。 「舌打ちか照哉」 「邪魔…しに来たんですか?」 「そうだよ、お前は俺のだからな」 「身体…がでしょ?」 「いや、心も。俺なしじゃ生きられないようにしてやるよ」 会長の言葉に照哉は少し笑い「どうせ、すぐに飽きるくせに」と言う。 「飽きるまでは俺のだよお前は」 会長はそう言うと照哉に唇を押し付けた。 ******** 「東雲、明日から戻ってくるぞ」 ユウヤの言葉に一番真っ先に喜んだのは幸太。  「マジですか?」 キラキラと目を輝かせている。  「マジだ」 ユウヤがそう答えると幸太は飛び上がる程に喜んでいる。  「どがんしたとですか?」 幸太のはしゃぐ姿に掃除を終えた英雄氏とシンジと指導係りの健太が不思議そうな顔で立っていた。  「東雲さん帰ってくるって!」 「えっ?本当?」 「しのめさん戻ってくるとですか!そいは嬉しかばい」 健太と英雄氏も嬉しそうにはしゃぎ、幸太は健太とハイタッチまでしている。  「東雲さんって?」  シンジだけがキョトンとしている。 「ここの店長で、超イケメン」 健太がそう説明する。  「しのめさんは優しかとですよ」 しのめ…、 あっ、東雲…。  英雄氏が毎日のように口にしていた謎の人物はしのめ、ではなく東雲なのだとシンジはようやく理解した。  「何の騒ぎ?」 モモとユナが騒ぎを聞きつけ顔を出す。  「東雲が戻ってくるんだよ」 「えっ?」 モモの目がキラリと輝いた。  「ちぇ、ここの連中、東雲好きだよな。」 ユウヤは拗ねたように呟く。  「特に幸太でしょ?」 「嫉妬ダナ」 モモとユナの言葉にユウヤは、 「俺に傾いたかと思っていたのにさ」とふてくされる。 「でも、片思いだからね。」 モモはユウヤを慰めるように肩を叩く。  「ヤッテシマエバイイ」 「ユナ、相変わらず過激だな」 ユウヤは苦笑いはする。 「身体から始めるのが幸太みたいなオクテには良いと思うよ、童貞だし」 「そうかな?」 「ソウダナ、幸太ハ抱カレタラ落チル!今夜ガ勝負ダゾ」 モモとユナは何かを企んだようにニヤニヤしている。  「ユウヤさん、空いている部屋あるから幸太連れ込めば?」  「黙ッテテヤル」 モモとユナはユウヤの両脇に立ち、囁く。  ユウヤはじっと幸太を見つめた。

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