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嘘と本音 7話

「俺は会長の代わりは嫌です!」 幸太は力いっぱい叫ぶ。 下着を脱がそうとしていたユウヤはピクリと反応し、手を止めた。 「誰の代わりだって?」 ユウヤの顔が近付く。 「会長です。会長をまだ好きなんですよね?俺に東雲さんを諦めろって言っているのは自分に会長を諦めろって言い聞かせているんですよね?」 「……………」 ユウヤは返事もせずに幸太を見下ろしている。 「ユウヤさん泣いてたじゃないですか!自分にだって純情な感情くらいあるって!あれがユウヤさんの本音でしょ?」 幸太は言いながら目に涙を滲ませてユウヤを見上げている。 「…フン、言いたいのはそれだけかよ?何言ってもお前ヤルのは止めないから」 ユウヤはそう言うと幸太の首筋に舌を這わす。 生温かい感触に幸太の身体はビクンッと跳ねる。 「…ユウヤさん、俺、ヤラれても東雲さんを好きなのは止めませんから」 首筋を舐められたり吸われたり、幸太は怖さを我慢するようにそう言った。 「あ、そ、じゃあ遠慮なく食うよ。今日からお前が俺のセフレな、色々教えるから覚えろよ」 ユウヤは下着の中に手を入れた。 「何ば教えるとですか?」 ふいに聞こえた英雄氏の声。 ユウヤは声をする方角に視線を向けると英雄氏がバケツとモップを持って立っている。 「…………」 ユウヤと英雄氏は暫く見つめ合い。 「どうやって入った?」 冷静な声で聞く。 「カギ開いとりましたよ?」 「いや、閉めたはず…………………」 ユウヤの記憶では確かにカギをかけたのだ。 「ああ、こん部屋のカギは壊れとるとですよ」 「はい?」 「壊れとるとです。ユウヤさん若っかとに耳遠かですね?」 じじい、いつか殺す。 ユウヤはカチンときたらしい。 「部屋掃除せんばいけんとですけど?」 英雄氏は困ったような顔をしてバケツを床に置く。 「先輩、部屋…………………」 シンジも部屋に入ってきて、ユウヤと幸太に気付き固まってしまった。 ち、 ユウヤは舌打ちをすると、幸太の両手を解放し、「しらけたな。続きは後で」と幸太に耳打ちして部屋を出た。 「助かったあ」 幸太は起き上がると服を着始めた。 「あの、大丈夫ですか?」 シンジが心配そうに声を掛けて来た。  「大丈夫!ビックリさせてごめんね。」 幸太は元気そうに笑って見せるが手が小刻みに震えているのに自分で気付いていた。 服を着終わると部屋を急いで出る。 シンジ達に心配や、変な目で見られるのがイヤだった。 英雄氏は全く普通だったけれど。  でも、英雄氏が来なかったらヤラれていたのか確か。 幸太はドアの前で座り込んだ。  ユウヤさんのバカあ!  怖かったんだからな! 震える身体を抱きしめる。 「幸太」 名前を呼ばれ、身体が硬直した。  目の前にユウヤの足。  「ユウヤさん…」 恐る恐る顔を上げた。  **** 会長の舌が口内に侵入したと同時に苦い味がして照哉は会長を押しのけようと手で彼の服を掴む。 でも、掴んだ手はアッサリと会長の手により押さえつけられた。  苦い何かを飲み込ませようと会長は間髪入れずに水を照哉に口移しで流し込む。  ゴクンッと苦いものが喉を通り過ぎた。 「お前が薬飲まねえからだ」 会長はニヤリと笑うと照哉を解放する。  コンコン、 ドアがノックされ氷枕を持った東雲が部屋に入って来た。 会長とのキスを見られなかった事に照哉はホッとする。 「お姫様に看病してもらえ」 会長はそう言うと部屋を出て行った。  「照哉さん頭上げるよ」 東雲は照哉の頭を持ち上げると氷枕を頭の下に置いた。 照哉は手を伸ばすと東雲を自分の上へと抱き寄せる。  「ちょ、照哉さん、大人しくしないとまた」 東雲は照哉の上から降りようとする。 「東雲がおやすみのチュウしてくれたら大人しく寝るよ」 その言葉に東雲は困った顔をした。  「大人しくして欲しいんだろ?」 照哉は東雲を見上げて微笑む。  参ったなあ。  照哉さん可愛いんだもんなあ。  東雲はゆっくりと照哉に顔を近づける。

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