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嘘と本音 8話
でも、寸前で東雲は躊躇してしまう。
やっぱり恥ずかしい。
照哉は躊躇する東雲に手を伸ばしてシーツの中へ抱き込んだ。
「て、照哉さん」
シーツの中、東雲は照哉に抱きしめられる。
「やっぱ東雲は抱き心地良いよな」
温かい照哉の体温。
恥ずかしいけれど東雲は照哉の腕の中、大人しくしていた。
このままでいいかな……。
そして、いつの間にか眠ってしまった。
照哉は眠ってしまった東雲のオデコに唇を軽く押し付けた。
このまま抱いてしまおうか?
そんな考えが頭を過ぎるが、まだ東雲に告白の答えを聞いていない。
キスしても嫌がらないから自分に好意はあるとは思うけれど、キスとセックスは違う。
ましてや東雲は男を知らない。
無理やりになってしまうかも知れない。
それは避けたい。
無理やりがどんなに怖くて嫌かを一番知っているのは照哉自身だから。
無理やり自分を抱いた男とずっと一緒に居るのも異常だと思う。
殺してしまいたいと14歳の自分は会長を恨んでいた。
今はどうだろう?
どうして自分はあの男の側に居るのかな?
熱がある身体では上手く思考回路が動かない。
次第にまぶたが重くなってきて、 眠りに落ちる。
******
ユウヤの姿に身構える幸太。
「………もう、何もしねえよ、悪かったな」
ユウヤはそう言うとその場から去ろうとした。
「ユウヤさん」
幸太はつい、呼び止めた。
「何だよ」
「あの、大丈夫ですか?」
幸太の言葉にユウヤはちょっと驚く。
無理やりレイプしようとした男に対して大丈夫ですか?なんて驚く言葉。
「何がだよ?」
「ユウヤさん……泣きそうだから。また、1人泣くんですか?」
「……………」
「泣くなとはいいません。やっぱ、泣きたい時は泣いた方がいいし、我慢は良くないです」
必死にそう言う幸太をつい、ぎゅっとユウヤは抱き締めた。
「お前、本当ばか」
ぎゅっと抱きしめたユウヤの声は震えていて、
「ユウヤさん泣いて下さい」
幸太もユウヤをぎゅっと抱き締めた。
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