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鬼畜会長と子羊ちゃん 10話
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「照哉君ってモデルとかなの?なんかキムタクっぽいよね?あっ、ロンバケとか知ってる?俺、めちゃ好きでさ」
「あかり?」
言葉を遮るように灯の名前を呼ぶ。
「うん?」
「薫ちゃんの弟なのにフレンドリーだね」
照哉は自分の質問を一切スルーして別の話をする。
「あ…俺、薫ちゃんと血の繋がりないもん。薫ちゃんちょっと無愛想だもんね」
フフッと笑う灯。
ちょっとどころじゃねーし。
「薫ちゃんの事好き?」
「うん!あっ、恋愛感情はないよ、俺スキな人居るし」
「俺は薫ちゃん嫌い」
「えっ?何で照哉君は薫ちゃんの」
「性処理なだけだよ、俺薫ちゃんに14歳でレイプされたし」
ニコニコしていた灯は急に黙った。
関係ない灯に八つ当たり。
夕べ、東雲と一緒だったのを無理やり引き裂かれて身体中舐められて吸われて、脚を開かされ、屈辱を味わった八つ当たり。
「ごめんね。」
灯は小さく謝る。
あーー、関係ねえ奴イジメてしまった。
心がチクンと痛んだ。
「灯のスキな人ってどんな人?」
なので、重い空気を変えた。
「かっこいいよ!優しくてさ」
かっこいい?
「男?」
「うん。薫ちゃんのね元カレ」
はっ?と思った。
「薫ちゃんが高校の時付き合ってた人で良く俺とも遊んで………あっ、エッチな事じゃないよ普通に公園とか」
慌てる灯。
「そんな風に思ってねーし」
そう言うと灯は顔を真っ赤にした。
「ソイツに告った?」
灯は首をブンブン振った。
「タケちゃんモテるし、俺は弟みたいだから」
タケちゃん?
あれ?昨日の電話の?
「俺は告ったけど返事貰ってないんだよね。キスさせてくれたり、一緒のベッドに寝てくれたりするのに」
照哉はため息をつく。
「えっ?照哉君好きな人いる……の?」
灯が聞いてくるのは俺が嫌いな男と寝ているから。
俺だって自分に聞きたい。
何で会長と寝てるのか?って。
「居るよ。初めて自分から好きになった」
「どんな子?」
「素直でピュアでキスされたら真っ赤になってうろたえて震えて…本当に可愛い」
キスも流されただけかも知れない。 そう思ってしまう。
「その子も照哉君スキだよ?だってスキじゃなきゃキスしないでしょ?スキって逆から読むとキスになるっしょ?それは好き同士しかしないからだよ」
ニコッと笑う灯。
灯のホッペをムニッと照哉は掴み、 「どの口が言うんだ?そんなクサい台詞を」と言った。
でも、何か嬉しいかも。
少し気が晴れた。
「灯てめえ、俺の許可なく照哉といちゃつくな」
不機嫌そうな会長が素っ裸で歩いて来た。
「薫ちゃん服着なよ」
灯が露骨に嫌そうな顔をする。
「シャワー浴びてくる、それからお前の携帯ブーブーウルサい」
と会長は照哉に文句を言う。
照哉は直ぐに寝室に戻りベッドの枕元にある携帯を確認すると
着信はユウヤ。
なんかガッカリ。
東雲かと思ったから。
ユウヤにかけ直すと、 「あ、良かった照哉~お前どこいんだよ?」言えるわけもない。
「なんか用?」
「東雲が泣き止まないんだよ」
「は?」
一瞬、何言われたか分からなくなった。
「早く帰ってこいよ」
「あ、なんで?東雲なんで泣いて」
何で東雲が泣いて?
「お前が東雲置いて居なくなったからだろ?」
俺のせい?
「早く帰ってこいよ」
東雲が泣いてる?
そうだ屋上でも泣いてた。
帰りたい。
「ごめん…まだ」
帰りたい………。
東雲に会いたい。
「お前、恋人と一緒じゃねえよな?」
ドキンとした。
恋人じゃないけど……。
「東雲が電話の相手が恋人だったらどうしようって泣くんだよ、どーにかしろ!」
そんな事で?
俺に恋人いたら泣くのか?
「黙ってないで何か言え」
何も言えない。
「じゃねーと東雲抱くぞ」
「は?お前幸太が」
「泣いてる東雲可愛すぎて理性が保てない、やられたくなかったら」
照哉が答える前に携帯を会長に奪われた。
「ユウヤ、東雲抱いたら殺す」
「会長………なんで?」
ユウヤの心拍数が上がる。
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