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会いたい
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頭が痛い。
東雲は頭痛と戦いながら仕事に来ていた。
熱があるとかじゃなく泣きすぎ。
子供みたいに泣いてしまった。
「東雲、お前まだ無理しない方がいいんじゃないか?顔色が悪い」
久しぶりに会った部長に心配され、仕切り直しに顔を洗いにトイレに来た。
照哉さん………来ない。
いつもなら来ている時間。
休みとも聞いてないのに。
「東雲」
ユウヤの声に顔を上げると鏡越しに彼と目が合った。
「大丈夫か?」
ユウヤが隣に来て東雲の頭を撫でる。
「大丈夫です。すみませんユウヤさんにまで心配かけてしまって」
「え?他に誰が?」
「部長が、顔色悪いから帰っても良いとか言うので、そんな疲れた顔をしているのかな?って」
東雲はちょっと笑ってみせる。
ユウヤは手をオデコに当てる。
「微熱あるぞ東雲」
「大丈夫です。あの、今日って照哉さんは?」
「照哉?ああっ、今日は会長の仕事手伝ってるよ」
「……休み、なんですか?」
「そうなるな」
ユウヤの言葉に元気がなくなる東雲。
「よしよし」
ユウヤは東雲の頭を撫でる。
照哉さん…………、 会いたいなあ。
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「なんか東雲元気ないとつまんないよねえ」
「ソウダナ」
男子トイレを覗くモモとユナ。
「あー、モモにユナさん!男子トイレなんて覗いて逆セクハラ………」
幸太はトイレを覗き、ムッとする。
「ユウヤさん!」
幸太は東雲とユウヤの間に入った。
「東雲さんに頭撫で撫でとか!もう!俺もしたいし、されたいです」
とほっぺを膨らます。
ユウヤはそんな幸太に笑ってしまった。
「撫で撫では東雲にされたいのか?」
「もちろんそうですけど、………ユウヤさんにもされたいです」
ちょっと照れながら言う。
マジかっ!
ユウヤはにやつく。
「このまま3P突入かしらね?」
「ソノ場合、東雲ガ2人に攻メラレルダロウナ」
「ユナちゃんもそう思う?だよね!東雲って、ザ受けって感じだもんね。モモが一番見たいのは会長と照哉さんにアンアン言わされる東雲~エロいだろうなあ」
モモの言葉にユナも頷く。
「モモちゃん聞こえてるから!」
トイレ内からのユウヤの声。
「あら、聞こえてた?」
モモとユナはトイレへと入った。
「わざとらしい」
幸太の嫌みに、
「幸太、撫で撫でしてあげるね~撫でられたいんでしょ」
とモモは幸太の頭を撫でる。
「やーめーろーっ」
モモの手を掴み、
「東雲さん、どうにかして下さい」
と東雲に視線を向ける。
「えっ?あっ、何?」
東雲はぼんやりしていたのか慌てたように聞き返す。
「東雲~、なーんか東雲が元気ないとつまんないんだよね。」
とモモ。
「ソウダゾ。」
ユナも同意する。
「ごめん………、仕事しなきゃなっ」
東雲はそのままフラフラとトイレを出て行った。
「かなり重症ね」
心配そうなモモ。
「恋ノ病ダナ。照哉ハ休ミカ?」
「会長の仕事の手伝いらしい」
ユナの問い掛けにユウヤは答える。
「今夜ハ?」
「会長はしばらく照哉は戻せないって」
「えっ?しばらく?照哉さん、何の仕事してるの?」
驚くモモ。
「企業秘密らしい。照哉さんハッカー出来るからさ、色々やらされてるみたい」
「でも、照哉さん、東雲さんに電話くらいしても良いのに………ズルいよ照哉さん、あんなに東雲さん元気無くす程会いたいのにさ、こんな時は放置でさ!もう、こんなんなら」
感情的な幸太。
「あら?東雲奪っちゃう?」
モモはニヤニヤしながら幸太を見る。
「前は…………今は、ほら、ねっ」
幸太はチラリとユウヤを見る。
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