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子羊ちゃんの逆襲
セックス…?
囁かれた言葉に凍り付く。
会長の腕は東雲の細い腰を抱き寄せて、
「気持ち良かったぞ?」
とまた耳打ちされる。
嘘?
照哉さんと?
会長の唇は東雲の首筋に吸い付いた。
ピクンと身体が反応するけど、身体がマヒしたように動かない。
「………してたらどうする?」
「えっ?」
「してねーよ、一緒に入ろうとしたら殴られて追い出された」
会長の口元が緩む。
「泣きそうなツラしやがって」
会長は東雲から離れるとオデコを指で弾いた。
「いたっ」
額をさする東雲。
「で、照哉とセックスしたんだろ?どうだった?」
「えっ?」
さっきまで硬直していた東雲は青ざめた顔が今度は赤くなる。
「首筋にキスマーク付いてんぞクソガキ」
そう言われ東雲は慌てて首筋に手をあてる。
「青くなったり赤くなったり大変だな」
会長は冷蔵庫へ行き水が入ったペットボトルを出して飲む。
「腹減ってんだよ、早く飯作れよ東雲」
「あ、はい」
東雲は慌てて作りかけの料理を再開させる。
会長はイスに座ると、
「なあ、もし俺が本当に照哉抱いてたらお前どうする?」
「えっ?」
東雲は料理をする手を止め振り向く。
「俺から奪う?それとも諦める?」
「奪います」
東雲は迷いなく答えた。
「俺は金も力もある、それでも?」
「奪います」
「へえ~、照哉が俺の愛玩で自由にしてやる代わりに東雲の身体をくれと俺が言ったらどうする?」
「………それは、それで照哉さんが自由になるなら俺は」
その言葉に会長はニヤリと笑うと、
「おまえは一途だな、ムカつくくらいに」
そう言った。
「お前の父親そっくりだな、そんな所」
「えっ?」
東雲は驚いて顔を上げた。
「由貴にムカつくくらい似てるよ」
「……父を知って?」
「知ってるよ。」
会長はそう言うと、
「照哉おせーな、寝てるんじゃないか?」
と立ち上がる。
「お、俺が見てきます」
「襲わねーよ、どちらかといえば、お前を襲いたい」
慌てる東雲にそう言って阻止すると風呂場へと向かう。
案の定、照哉は爆睡していた。
無防備だな。
このまま俺がまた犯してきたらどうすんだ?とニヤついてしまう。
いっそ、東雲の前で抱いてやろうかとも思った。
奪います。
迷わずに答えた真剣な目は随分昔に愛した男と瓜二つだ。
眠る照哉の頭を撫でる。
「俺からお前を奪うらしいぞ」
小さく呟くと湯船から抱き上げた。
バスローブで身体をある程度拭くと風呂場から連れ出す。
「会長、照哉さん」
抱き上げられている照哉に驚く東雲。
「長湯したみたいだな、おら、ドア開けろ」
「あ、はい」
東雲は言われたドアを開ける。
そこは会長の寝室。
「あの部屋のベッドあとから掃除しろ、寝れねーぞ」
照哉をベッドに寝かせた会長ににやつかれ、東雲はまた赤面する。
「寝かせてれば時期に目を覚ます、おら、お前は飯だ」
心配そうにする東雲の首根っこを掴み寝室から引きずり歩き出す。
料理をテーブルに並べる東雲を見ながら、
「照哉は明日から店に出るぞ」
と会長は言う。
「本当ですか?」
嬉しそうな顔の東雲。
「仕事が片づいたからな」
「じゃあ、寮にも?」
「ああ」
東雲は小さくやった!と言葉にする。
「寮の部屋、意外と壁薄いからセックスする時は気をつけろよ」
「か、会長」
東雲は耳まで赤くしながらテンパっているようで、余計に虐めたくなる会長。
「セックスするなら店の空いてる部屋でする方がいいぞ?玩具もあるし、いろんなプレイも出来る」
「か、会長……やめて下さい」
「いいじゃねえか、人んちで散々やりまくって今更だろう?」
確かに……と思うけど、生々しくて恥ずかしい。
「で、東雲が受けだろ?照哉のチンポの味はどうだった?」
「かいちょう~すみません、ちゃんと掃除しますから許して下さい」
東雲は泣きそうだった。
「聞かせろよ、次は照哉にぶち込み」
ガツン、
少々大きな音がして、
「いい加減にしろよ変態野郎」
と拳を握る照哉が立っていた。
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