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子羊ちゃんの逆襲 2話
「照哉さ~ん」
東雲は慌てて照哉の側にいく。
チッ、会長は舌打ちする。
「雇い主をグーで殴るたあ、いい度胸だな照哉」
「アンタが東雲にセクハラしてるからだろ!」
「いいだろ、減るもんじゃなし」
「確実に減ります!」
照哉は東雲を抱き寄せて、
「東雲は俺のです。触らないで下さい」
と会長を睨む。
「ケッ、いちゃつきやがって、やるんならベッド掃除しろよ」
会長は出された料理を食べ始める。
「照哉さんもご飯食べるでしょ?」
照哉の宣言に頬を赤らめながら東雲はニコッと笑う。
照哉は東雲の顔を引き寄せて、キスをした。
いきなりで、 しかも人前……会長の前でのキスに東雲は硬直した。
会長はニヤニヤしながら2人を見ている。
会長の前だから東雲は抵抗するが、照哉にきつく抱きしめられ逃げれない。
「んっ」
照哉の舌が絡んでくる。
「ふっ……、んんっ」
東雲の声が漏れる。
照哉め……会長はニヤつきながら食事を続ける。
挑発してきやがって、 後で…………お仕置きだな。
唇が離れると真っ赤な顔の東雲が、
「ててて、照哉さん会長の前ですよ」
とアタフタしていた。
「東雲は俺のだって宣言したかったんだよ」
照哉は東雲の頭を撫でるとイスに座る。
「おう、飯じゃなくて東雲食うんじゃねーの?」
テーブルにつく照哉に嫌みを言う会長。
「東雲はデザートです」
「てるやさんっ」
もう耳も首さえも赤い東雲は恥ずかしくて死ねると思った。
「東雲、お前も食わないと体力もたねーぞ」
ニヤニヤする会長。
うう、照哉さんのばかあっ!
東雲は照哉にも食事を出し、自分も食べる。
「灯の飯も美味いが、東雲の料理はそれ以上だな」
灯?
会長が言った名前に東雲はきょとんとなる。
「確かに灯のも美味しい」
照哉も灯という名前を出す。
誰?
照哉さんも知ってる?
男?女?
えっ?料理人?
えっ?えっ?
東雲の頭に沢山の?マーク。
「灯は俺の弟だよ。」
東雲が会話について来れず寂しそうな顔をしているのに会長は気付き、そう言った。
「おと…うと、居るんですか?」
初耳で驚く東雲。
家族とか、生活の匂いがしないのが彼だから。
「居るよ、血は繋がってねえけど、そいつかたまに飯作りに来るんだよ」
ああ、だから照哉さんも知ってたんだ。
でも、何か……モヤモヤする。
どうしてだろう?
自分が知らない誰かを照哉は知っていて、料理を食べるくらい親しい。
「俺、先に鍋とか洗っちゃいますね」
東雲はぎこちなく笑うと立ち上がった。
「あまり食べてないだろ」
照哉にそう言われたけれど、
「味見し過ぎて」
と誤魔化してその場を逃げた。
「東雲、ベッドも掃除しろよ」
ニヤニヤする会長をまた照哉がグーで殴っている。
鍋を洗いながらもモヤモヤは消えない。
そんな中、チャイムが鳴った。
「なんだよ、誰だよ」
会長が面倒くさそうな声を出す。
「灯じゃね?」
照哉が当たり前かのように名前を出した。
灯………
チクンッと胸に何かが刺さった。
「いや、灯じゃねーよ。あいつ、この時間仕事だからな、面倒くさいから東雲出ろ」
命令され東雲はインターフォンのモニターを見る。
派手な女性が映像に映っていて、
「あの、女性が」
と会長に向けて言葉を発した。
「女性?」
会長は怪訝そうな顔で東雲の元へ来るとモニターを見た。
チッ、
舌打ちすると、 「無視していい」とインターフォンの電源を落とした。
「いいんですか?」
「別れた女だ。どうせ金目当てで来た」
別れた女。
ああ、そうだった、会長には男女、両方のセフレが居る。
「でも、」
金だけじゃないかも知れない。
忘れられないとか……色々。
「じゃあ、お前が用件聞いてこい」
「えっ?」
「気になるならな」
会長はそういうとテーブルへ戻る。
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