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子羊ちゃんの逆襲 3話
東雲はほっとけなくて玄関へ向かった。
「ほっときゃ良いのに」
会長は何事も無かったように食事をしている。
「ほっといて良いのかよ」
「半年以上も前に手を切った女が来る時は新しい男が出来て、金が必要になった時だ」
照哉の問いかけにそう答えた。
「どんだけ場数踏んでんだよ」
呆れる照哉。
「気になるか?」
「あ?何が?」
「俺に他に抱いてる奴がいるかどうか」
ニヤリと笑う会長。
「ならねーよ」
頭おかしいんじゃね?そう付け加えて席を立つ。
食器を重ねていたら、フラリと会長が玄関へと向かった。
「やっぱ、気にしてんじゃん」
照哉は鼻で笑ってやった。
*******
最上階からエレベーター使っても多少は時間が過ぎる。
まだ居れば良いけど、 東雲は急いでマンションの玄関から出た。
部屋のインターフォンを押したと見られる女性は辛うじてまだ居た。
横付けされた車のドアに手をかけている。
「あの、」
乗り込む前に慌てて声をかけると女性は振り返った。
綺麗な顔立ちだけど、性格がキツそうな印象をその女性に感じた。
そして、目がつい行ってしまったのは女性のお腹。
服の上からでも分かるくらいの膨らみがあった。
妊婦さん?
妊婦さんが会長に何の用だろうと思ったが、
その用件は1つしかない。
「私を呼んだ?」
女性は東雲に視線を向けている。
「はい。あの、さっき、会長の部屋の」
「君、新しい愛玩?さすが面食いね。」
東雲の言葉を遮り女性はそう言った。
女性は微笑みながら東雲の側に近づいてくる。
「いくつ?」
女性に質問されて、
「21です」
と答えた。
「若いわね。こんな可愛いのに女の子嫌いなんだ?それとも薫みたいにバイセクシャル?」
微笑みながら言ってはいるものの、何かカチンとくるような、見下しているよな態度。
あまり好きじゃない。
初対面の相手に嫌悪感を抱いたのは初めてだった。
「あの、」
用件は?と聞きたかったが女性は東雲の言葉にかぶせるように、
「何の用が見当ついてるでしょ?それとも追い返して来いと言われた?」
と言った。
違うとも言えないし、どう答えて良いか言葉を捜していると、
「何の用だ」
と真後ろから会長の声がした。
「薫」
女性の目が輝く。
「金せびりに来たのか?」
会長は東雲を自分の後ろへと追いやり女性を威圧感する。
「可愛い恋人ね。ユウヤが振られたのはこの子のせいか」
「お前と雑談する暇はない。用件は何だ?」
会長は面倒くさそうな態度丸出しである。
「………冷たいなあ。用件は、分かるってるみたいね。」
女性はニコッと笑う。
「お前に渡す金なんかねーぞ」
「あるわよ、養育費」
女性は膨らんでいるお腹を撫でた。
「他人の野郎の子供の養育費を良く強請れるな」
会長は鼻で笑う。
「はあ?何言ってんの薫の子よ」
女性は会長を睨みつける。
「腹の子供の親は運転席の男だろ」
会長は横付けされている車を睨む。
「何いって…」
「何言ってるも何も俺にはガキはつくれねえ。結婚するつもりもないからガキ出来ないようにしたんだよ、お前みたいに妊娠したから金出せと言ってくるクソオンナばかりだからな。」
その言葉に女性は、何も言い返さずに車へと乗り込んだ。
「照哉、車のナンバー割り出せ」
会長の言葉で東雲は後ろを見た。
照哉は面倒くさそうに、
「はいはい」
と返事をした。
「出なくて良かったろ?」
会長は東雲の肩を叩くと中へと入って行った。
「東雲」
照哉に手招きされ東雲も中へ入って行った。
******
「金貰えなかったのかよ」
運転席の男が女性に文句を言う。
「仕方ないでしょ、まさか子供作れないようにしてたとか知らないし」
女性もブツブツ文句を言う。
「じゃあどうすんだよ、明後日までに金を用意しないと」
「うるさいわね、まだ手はあるわよ」
女性はそう言い返し、
「あのガキ使うわ」
とほくそえむ。
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