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子羊ちゃんの逆襲 5話

くちゅりと絡んでくる東雲の舌を照哉は受け入れる。 何度も角度を変えて、落とされるキス。 息が荒い東雲。 そこにはまだぎこちなさがあって、キスや愛撫に不慣れな感じがする。 男慣れしていないのは当たり前で、 照哉が初めての相手なのだから。 首筋や胸元にキスをチュッとチュッと落とす東雲が一生懸命なのが分かって照哉には可愛く彼が映る。 ヤキモチを妬いて、 嫌だと泣かれた事なんて無かった。  自分の身体を自由にしてきた男達は勝手に自分を抱いて、そして居なくなった。  毎晩抱くあの男も、散々弄んで居なくなった。  二十歳の時に偶然に居場所が分かり、  いつの間にか側で働くようになっていた。  自分から近づいたのか、向こうが仕掛けてきたのかは分からない。 ちゅっ、  東雲のリップ音が心地よい。  こんなに可愛い愛撫は初めてだ。 だから余計に感じる。  「東雲、下も触って………」 東雲の頭を撫でる。  懸命に愛撫をしていた東雲はビクンとなり、少し緊張してしまう。 照哉のを咥えるのが嫌なわけじゃない。  不慣れな自分に呆れられてしまうんじゃないかと不安が過ぎるのだ。 ひとりじめにしたい。 言い切ってしまったのだから満足させないとダメだよね?なんて考えたら頭が真っ白になる。 男………抱いた事なんてないもん!  「照哉さんっ」 目を潤ませて照哉を見下ろす東雲。  「俺………こういうの初めてだから、わか、わかりませんっ」 うりゅう~と涙を浮かべて半ベソの東雲。  可愛いーっ!  やばいやばいやばい、  かわゆいかわゆいーっ、 照哉は頭をくしゃくしゃと撫でると、  「東雲が俺にされたい事をしたら良いよ」 そう言って微笑む。  「照哉さんにされたい事?」 「そう……何されたい?」 「キス」 迷いなく答える東雲。 「じゃあキスして」 照哉に言われ東雲はキスを落とす。  柔らかくて温かい唇。 東雲から良い匂いがする。  シャンプー?  照哉は髪を撫でながらキスを受けた。 可愛いんだよクソッタレ!  照哉は東雲の身体を掴み身体を反転させた。  東雲が下。  「こんな可愛い事されたら我慢できねーんだよ東雲!」 照哉は東雲の顔を押さえ激しいキスをする。  「ふっ……んっ」 息を荒くしながら互いに舌を絡め合う。  くちゅくちゅとイヤらしい音と、息遣いが部屋中に広がり、  照哉の反撃が始まる。  ****** 「灯、新しいマンションを手配してくれ」 会長の言葉に電話の向こうの灯はため息をつく。 また?なんてお決まりの台詞を吐かれる。  「それからデータを送るからデータに入っている奴の店を調べてくれ」 会長はパソコンから灯にデータを送る。 「コイツ何したの?」 「クソ女に捕まった不運な野郎さ。俺は他人の金を宛にする輩が嫌いなんだよ」 「うん、知ってる。薫ちゃんどこ居るの照哉くんも一緒?」 「ホテルだよ。照哉は恋人とハメ中だ」 「邪魔しちゃダメだからね」 灯の言葉に、  「照哉は俺んだ、俺が抱きたい時に抱く。恋人とやってる時でもな」 と言い放つ。  「鬼畜」 「最高の褒め言葉だな」 会長はそう言って電話を切る。  そして、パソコンを操作し画面を変える。  「照哉さっ………あっ」 映し出される画面には東雲が喘ぐ姿。  真上からのアングルで、組み敷かれた東雲が照哉に挿入され喘いでいる。 照哉も懸命に腰を動かしている。  「お前はネコだろ照哉」 ニヤニヤする会長。 しばらく見ていると、東雲が上になった。  騎乗位か、大人しそうな東雲も一端の男だったようで、自ら腰を落とし気持ち良さそうに腰を振っている。  由貴を思い出した。 一度だけなら。  そう言って部屋で服を脱いだ由貴。 それを一晩中、 痛めつけるように抱いたのは自分。  高校卒業を待たずに居なくなった由貴を見つけたのは小さい居酒屋。  幼い1人息子と、年老いた父親と暮らしていた。 「おじさんだれ?」 会長を見て人懐っこい笑顔を見せた子供。  今は画面の中、淫らに喘いでいる。

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