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子羊ちゃんの逆襲 8話
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「薫ちゃん、お店行くの?」
車に乗り込むと直ぐに灯に聞かれた。
「いや、ホテルに戻る」
「分かった」
灯はホテルへと車を走らせる。
「いいの?」
英雄さんが言っていたホストクラブへ行かなくて良いのか?という意味で灯は聞く。
「もう、とっくに逃げてるだろうよ、まあ、東雲は今日は部屋から出さないし、しばらく寮も見張らせるさ」
「えっ?どうして東雲くんの方?照哉くんじゃなく」
会長の玩具は照哉の方。灯はちょっと驚いた顔でチラリと会長を見る。
「くそ女が来た時に対応したのが東雲なんだよ。」
「ああ、そっか。じゃあ暫くは様子見てあげないと」
「くそ女、あそこまで頭悪いとは思わなかった。」
会長はかなり、ご立腹。
灯も話を聞いているので確かに馬鹿だと思った。
他の男の子供をあなたの子供よ。とか言える神経を疑う。
「だから女は嫌いなんだよ。」
「これに懲りてアチコチ手を出さない方がいいよ」
「もう出してねーよ、可愛い玩具が居る。」
「照哉くん?」
「あ~、くそ、イライラすっから今すぐ照哉抱きてーな」
「今、恋人の東雲くんも一緒なんでしょ?ダメだよ。邪魔しちゃ」
灯はため息をつく。
「うるせえ、照哉は東雲が居た方がケツの絞まり良くなるしイジメがいあんだよ」
「鬼畜!」
「今更だろ?」
灯の言葉に笑う会長。
「まあ、いずれにせよ、東雲も頂くつもりだけどな」
「薫ちゃん欲張り」
「世の中、欲がねえーと生き残れねーぞ。灯も欲を出さないからタケルをモノに出来ねえんだ」
「それは…」
しょんぼりとする灯。
「さっさと諦めるか、可愛い子猫ちゃんから奪うか、どっちかにしろ」
奪う……
灯は首を振る。
恋人がどんな人かは知らないけど、奪うのは…
「恋人って薫ちゃん会った事あるんだよね?」
「ああ」
「どんな人?」
「高校生みたいな面してエロそうなガキだ。溺愛してるなショタコンタケル」
「ショタコン?」
「相手は二十とか言ってたな」
そんな年が離れた?
やっぱ、若い子がいいのかあ~と灯はさらにへこむ。
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寝返りを打って、照哉は目を覚ました。
寝返り打った方向に東雲の寝顔。
眠っていると幼くなる東雲につい、口元が緩む。
スースーと聞こえてくる寝息。
起こさないように東雲を自分の方へと抱き寄せる。
「ん…」
身体に触れた為か東雲の口から言葉が洩れるが、起きる気配はない。
抱き寄せて、フワリと香るシャンプー。
アイツと同じ匂いだけど、東雲から香るのは凄く甘く感じる。
東雲を抱けるなんて夢のようだ。
きっと、片思いで終わると思っていた。
あの男の籠の中の鳥で終わるのかと…
掃き溜めに鶴?
なんて言葉が浮かぶ。
「んっ」
東雲は照哉の腕の中、目を覚ます。
凄く温かくて、甘い香りの中で目を覚ませるなんて、幸せだな。
なんて東雲は思いながらゆっくりと顔を上げて照哉を見た。
相変わらずの綺麗な瞳の照哉。
吸い込まれそうだ。
「わりぃ、起こした?」
なんて、照れくさそうに東雲を見返す照哉。
ううん、と首を振り、
「照哉さん甘い匂いがする」
と首筋に鼻を持っていく。
「暁の方が甘い匂いするぜ?」
照哉も東雲の髪に鼻を持っていく。
互いに嗅ぎ合って笑ってしまった。
「照哉さん、俺の名前、もう一回呼んで」
「いいけど、どうした?」
「呼ばれたいだけ」
東雲は甘えるように照哉に抱きついてくる。
その仕草が可愛くて、照哉は東雲の名前を彼の耳元で何度も呼ぶ。
「暁って呼ばれたの久しぶり」
「そっか、皆、東雲だもんな。暁って誰に呼ばれてた?」
照哉にとってはドキドキする質問。
過去の恋人とかだったら嫌だな。って思いながらも聞いた。
「父さんとじいちゃん」
「親父さんと祖父ちゃん?」
照哉はホッとした。
「うん。」
「そう言えば親父さん何してる人?」
「………父さんは料理人だったよ。小さい居酒屋をしてた」
だった。
過去形に照哉はその先を聞いてはいけないと思いながらも、
「だった、って今は?」
と聞いた。
「中学の時に事故で死んじゃった」
東雲の言葉に照哉は抱きしめている腕に力を入れた。
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