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大胆不敵な狼氏 8話

舌が執拗に絡んできて息も上手くできない。 息が荒く上がっているのに、結構辛い。 そんな中で東雲の脳裏に忘れていた記憶がふいに現れた。 まるでフラッシュみたいに浮かんでは消える。 その浮んだ画像を見たくて必死になる。 なんだっけ、  脳裏の画像は東雲が幼い頃に住んでいた部屋。 父親と…… そうだ、父さんと住んでいた部屋だ。 そこにはたまに誰かが訪ねてきてて、幼稚園を抜け出して部屋に戻った事があった。 昼間は父親は食堂で働いていたから居ないはずだった。 ドアを開けると靴が2人分。 革靴で……たまに来る人の靴だった。 その人は綺麗な顔をしていて、でも、どこか冷たくて怖かった。 でも、幼い自分は玩具を買ってくれるイイ人だと思ってて、その日…… また、玩具買ってくれるのかと期待して部屋に上がった。 すると、寝室から声がして、ゆっくりとドアをあけた。 そこには、裸の男が2人。 父親が玩具買ってくれる人と何かしていた。 あの頃は何をしているか分からなかった。 そうか、あれは………セックスしてたんだ。 その時に聞いたんだ。 脚をもっと開け……ゆき、気持ち良くしてやるから………と。 見てはいけないと幼いながらに思った。 だから、見つからないように逃げた。 あの時の男の声に似ている。 「イキそうだな、東雲。」 クスっと笑う会長の言葉で我に返った。 確かに……身体が限界だった。もう……いく。 「我慢するなよ、いかせてやるから」 グリッっと強く奥を刺激され、東雲はガクガクと身体を痙攣させて、果てた。 ドロリとした白い液が外へと放たれた。 頭が真っ白になる。 肩で息を吐き、会長を見る。 「また、次いかせてやるよ。今日はセックスしねーから安心しろよ。照哉に操守ってんだろ」 指を抜き、東雲を解放した。 「しばらく留守にするからお前は絶対に外に出るなよ」 荒く息を吐く東雲に話し掛ける。 「仕事……が」 「仕事は役たたねえスタッフがいるだろ。それにあの店は暇だ」 会長は乱れた服を直すと立ち上がる。 「新しい服は俺の寝室にある。そこに照哉も寝ている………セックス三昧出来るな」 ニヤリと笑って東雲の頭を撫でて部屋を出ていった。 クシャと撫でられた時にまた、フラッシュみたいに画像が流れた。 「おじちゃんまたくる?」 「おい、おじちゃんはないだろ」 「だって、おじちゃんの名前しらないもん」 「かおる」 「かおる?オンナノコの名前だよ?」 「お前の父ちゃんもゆきだろ?」 「よしたかだよ。お父さんはよしたか。」 「ああ、そうだったな。」 そう言ってクシャっと頭を撫でて笑ってくれた人。 誰だっけ…… そう考えながら眠りについてしまった。 ◆◆◆◆ 「んっ……」 照哉は寝返りを打って目を覚ました。 一緒に寝ていたはずの会長はすでに居ない。 ケッ、変態じじいが! 身体を起こして背伸びをする。 暫くいない……ってか、せいせいする! あ、東雲ー! 東雲はどうしているだろう。 ベッドを降りて、部屋を見に行く。 姿はそこになく。 まさか、外に?危ないのに! 照哉が焦っていると、シャワーの音が聞こえてきた。 ああ、なんだ。風呂か。 安心したように照哉は風呂場へいく。 ◆◆◆ 目を覚ますと、身体が汗臭くて、そして…体液でベタベタだった。 気持ち悪くてシャワーを浴びる東雲。 ガチャっと突然ドアが開いてドキッとした。 会長? 驚いて振り返ると、 「照哉さん」 照哉が居てホッとした。 「ごめん、なんか驚かした?」 「ううん、照哉さん寝てると思ってたから」 笑って誤魔化す。 「俺も入っていい?」 「うん」 ニコッと微笑む。 ◆◆◆◆◆ 湯船に2人で入る。 照哉の膝の上に抱っこして貰いひと息つく。 寄りかかり、頭を照哉の方に傾ける。 甘えてくる仕草の東雲。 どうしたんだろう?って思った。 普段より、甘えてくるような? 「なんかあった?」 照哉の言葉にドキッとした。

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