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大胆不敵な狼氏 10話

◆◆◆◆ 「マジでセックス三昧かよ」 会長は画面を覗きながらニヤつく。 「薫ちゃんって本当、悪趣味」 運転席の灯はため息。 「お前も見るか?」 「みないよ。照哉くんが可哀想でしょ?」 「照哉はカメラあるって知っててやってんだから見せたいんだよ。あいつドMだから」 「照哉くんがドMなら薫ちゃんは鬼畜のど変態だね」 「うるせーぞ、灯!俺はいま、溜まってんだから、お前を犯すぞ」 「マジで鬼畜。弟だよ?」 「血、繋がってねーって知ってて言ってるだろ?それにお前はネコだからちょーどいい。気持ち良くしてやるぜ?」 「ちょーどいいとかじゃないでしょ?愛があるセックスしてよ、ほんと!」 「タケルん時も別に愛は無かったけどな。」 「もう!!だから、そんな事言わないでよ!」 灯はふくれっ面で車を走らせる。 「お前、マジでタケル好きだよなあ。」 顔を見なくても分かる。絶対にニヤニヤしていると灯は思った。 「知ってるくせにからかわないでよ!」 「お前が鬼畜だの変態だの言うからだろ?お前が悪い、ヤれなくてイライラしてんだから、マジでヤルぞ!」 会長は見ていたパソコンを閉じる。 「やらないよ。薫ちゃんヤルと長いもん」 「なんだよ、久し振りにいいじゃん」 会長は後部座席から身を乗り出し灯の首筋にペロリと舐める。 「ちょ!!運転中にやめて!!」 灯は手のひらで会長を押し返す。 「もう薫ちゃんとしないって決めたからしない!」 「勝手に決めんなよ」 「薫ちゃん、穴あるなら何でもいいんだね?」 「あ?何でもいいわけないだろ?綺麗じゃなきゃやらない。灯も可愛いからヤルんだよ」 「照哉くんが好きなんでしょ?1人に決めなよ!アチコチに手を出してたらいつか痛い目みるからね」 「うるせーな。とりあえず、車ん中ではやらないからサッサとホテルに連れてに手をいけよ」 会長は灯の言う事を全く聞かない鬼畜変態だって灯本人も忘れていた。 ほんと!日本語通じない……… 車はホテルの駐車場へと入って行った。 ◆◆◆◆◆ 「あ~、腹減った」 ベッドの上で東雲を抱き寄せたまま、照哉は呟く。 食べる事さえ忘れてイチャついていたので、流石にお腹も空いてきた。 「俺、作りますよ」 「立てるのか?めっちゃやりまくっただろ?」 東雲の申し立てに心配そうな顔の照哉。 確かにかなり乱れていたと自分でも思う。 会長に乱されて心まで乱された自分をどうしようもなく持て余して、つい、照哉に求めてしまった。 少し、反省している。 「た、たぶん、大丈夫です」 そう言って身体を起こした東雲。 腰が痛いくらいで別に……そう感じてベッドから降りてみた。 とたんに、足に力が入らずその場にペタンと座り込むはめに。  「無理すんなって!ピザでも頼もうぜ」 照哉も起き上がり、ベッドの直ぐ横に座り込む東雲の頭を撫でる。 「ごめんなさい」 「なんで謝るの東雲?」 クスクス笑いながら、東雲の腕を引っ張り引き寄せるとそのまま力を入れて抱きしめる。 ぎゅーっと抱きしめられて、東雲はそのまま照哉の腕の中に顔を埋めた。 「あ~、マジで東雲を抱き殺しそうだわ。」 そんなに可愛い仕草をされてしまうと、また股間がムクムクと元気になりそうだ。 「照哉さんにならいいです。」 顔を上げて照哉を見つめる。 「あ~、もう!!馬鹿野郎!!」 照哉は東雲をその場に押し倒すとトロトロなままの彼の後ろに指を2本挿れ、穴を広げるとそのまま自分のモノを挿れ腰を動かす。 東雲は照哉にしがみつき喘ぎ声をあげる。 こんなにセックスをするのは初めてだ。 学生時代、モテなかったわけではない。 告白も散々されたけど、付き合いたいって人に出会わなかった。 両親が居なかったから祖父に苦労かけたくないと高校生からバイトばかりしていて、女の子と付き合ってもお金がかかるだけだと思っていたし、寂しい思いをさせるだけだと思った。 だから、照哉を喜ばせるテクニックは持ち合わせてないけれど、今、自分を抱いてる照哉が気持ち良さそうで嬉しい。 照哉が気持ち良くなってくれるなら自分の身体がどうなろうと平気だ。 ギシギシとベッドがきしみ、東雲の身体もそれに合わせて軋んでいるようで、ダルさと後ろの痛みも感じてきた。 でも、もっとほしい。 父親はあの時、こんな風に思っていたのだろうか? 子供が不在なときにこっそりと男と身体を重ねていたのだろうか? あと男を愛していたのだろうか? 男も父親を愛してくれていたのだろうか? あの男………誰だっけ? 知ってる感じがするのに、思い出せない。 つい最近、あの男と似たような声を聞いたと思っていたのに、良く思い出せない。 「あっ、イク」 随分、揺すられて、そして照哉の出したモノを中で感じた。 たがいに荒い息を吐いて、 「マジでやばいって、東雲ごめん」 自分の上で果てた照哉が謝っている。 「照哉さんが気持ちいいならいいんです」 東雲はぎゅーっと照哉を抱きしめる。 「あ~、もう、きりがないからまた、風呂入ろう!で、飯だ!」 照哉は起き上がり、風呂の温度を確かめてしてくると、風呂場へと向う。 裸の後ろ姿は綺麗だ。 そして、自分がつけたであろうキスマークが点々と付いているのが見えて恥ずかしくなる。 ………でも、 お尻にキスマークつけたかな?とふと思った。 背中につけた覚えはあるけど……… けれど、セックスの時は夢中だから自分でも忘れているのかも。と思い直した。 まさか、それが会長が付けたものなんて知らずに。  ◆◆◆ あ~、もう、マジで東雲を抱き殺しそうだ。 バスタブにお湯を溜めながら照哉はため息をつく。 自分がこんなにセックスが好きだなんて知らなかった。 会長とやる時は感情を殺しているせいかも知れない。 東雲の時は感情をまる出しで野獣のようだ。 抱いても抱いても足りない。 東雲が欲しくてたまらない。 けれど、東雲の身体に負担がかかるのは嫌だ。 我慢しなければ!!と決心するが、きっと東雲の裸を見るときっと、ぶっ飛ぶだろう。 可愛過ぎんだよ東雲のアホめ!!

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