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大胆不敵な狼氏 19話
◆◆◆
照哉はふと、目を覚ます。
ベッドから起き上がり、ボンヤリとしている。
俺……どうしたっけ?と考えてみる。
なんでベッドで寝てたんだろう?と考え、あ!!と思い出したのが会長からの胸糞悪い電話。
自慰行為を要求されたんだった……でも、やりたくないと寝転がったまま、寝てしまったようだった。
東雲……は?
東雲には変な電話やメールしていないだろうな?
照哉は慌ててベッドから降りると東雲を探す。
部屋を開けるが居ない。トイレ?とトイレに向かうとシャワーの音が聞こえてきたので、風呂か……と浴室のドアに向かい声をかける。
「東雲」
シャワーを浴びていると照哉の声が聞こえ、東雲はビクッとなる。
さっき、自慰行為をしたばかり……み、見られていないよね?
少し怖くなる。
「な、何?」
黙っていたら変に思われるから返事を返す。
「いや、いいんだ……腹減ってないかな?って思って」
「あ、うん、少し空いてるかも」
「じゃあ、何か作るよ」
ドアの向こうからの照哉の声……聞くとやはり安心する。
「あ、もう、上がるんで一緒に作りましょ!」
東雲はシャワーを止めるとドアを開けた。
ドアを開けると照哉が「いい眺めだな」と上から下まで眺めている。
少し恥ずかしくなって、「た、タオル下さいよ!」とドアを少し閉めて股間部分を隠す。
「隠すなよ」
照哉は笑いながらタオルを棚から取ると東雲の頭にフワリとかぶせ、髪を拭く。
「ほら、出て来い拭けないだろ?」
照哉に言われ、ドアから離れた。
優しい手つきで身体も拭いてくれる。
「東雲は何も着てない方がいいな」
「や、やですよ!裸族は!」
「部屋温かいから風邪引かないぞ?」
「だ、ダメです!」
「じゃあ、下着だけ」
照哉は東雲に下着を渡す。
「で、出来たら服も下さい」
「え~いいじゃんかあ」
照哉は拗ねたように言うと自分が着ていたシャツを東雲に渡す。
「彼シャツってやつな!」
ニヤリと笑う照哉。
彼シャツ……東雲はちょっと照れた。
彼シャツかあ!!照れる!!!
なんて、思いながらもちゃんとシャツを着た。
その姿のまま、キッチンへ。
「食材、何かあるかな?」
照哉は冷蔵庫のドアを開けて覗き込む。
「チャーハンくらいなら出来そうですね」
東雲は卵を取り出す。
野菜はレタスがあるし、カニカマ入れて……。
東雲は手馴れた感じでチャーハンを作っていく。
「ほんと、東雲って料理手際良く作るよな、味も美味いし」
「本当ですか?」
「うん、東雲ってプロにならないの?」
「……」
照哉の言葉に何か考えるかのように黙ってしまった。
「どーした?」
「あっ、いえ……いつかは、店は持ちたいなっては思う……お金貯めて、店を取り戻せたらなって」
「取り戻す?」
照哉は東雲をじっーと見つめる。
「父がやってた店……取られちゃったんです……借金のカタに」
「えっ?」
「色々あって……給料良い所で探してたんです。そしたら、ここが給料良くて」
なるほどと照哉は思った。
たまに東雲が寂しそうにしていたのはこれがこれが原因だったのか……と分かった気がした。
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