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ちょっと強気な子羊ちゃん
◆◆◆
無理矢理な自慰行為から数日経った。
まだ、会長は部屋に戻ってくる気配はない。
東雲は正直ホッとしている。なんせ、顔を合わせるのが怖い。
誰にも見せない姿を見られたのだから。
羞恥心というか、罪悪感の方が強い。
自慰行為はやった後に何故か罪悪感と虚しさがくるから東雲は嫌いだった。それを誰かの前でさせられてしまった。
行為をして直ぐに顔を合わせてしまったら恥ずかしさで死ねたかも知れない。
部屋に戻って来ない事がこんなにホッとするものなのかと思う。
何時までここに居なきゃダメなのかな?とも思う。
会長が戻る前に逃げたい。
そもそも、仕事……どうしよう?
代わりの人が居るとはいえ、一応店長をしている東雲。
給料だって仕事しなきゃ入って来ない。生活費は……光熱費やらは会長の部屋に居るからかからないし、食費も……欲しい食材をネットで注文すれば届く。
一歩も外へ出るな……と会長に命令されている。
勝手に出てしまったらどうなるんだろうか?
それに出るのなら照哉と一緒が良い。
ふと、照哉は何をしているのだろうと気になった。
朝食を済ませて、イチャイチャして……その後に家事を始めた東雲だが、物音がしない。
東雲はリビングに居る……ここに照哉が居ないという事は寝室しかないのだけれど……。
東雲は寝室へと照哉を探しに行く。
◆◆◆
何時までここに居なきゃいけないのだろう?
照哉は我慢の限界がきていた。
東雲と一緒なのは嬉しい!でも、この、部屋がアイツのモノでいつか、アイツが戻って来ると考えたらイラつくのだ。
自分を所有物と思っているのが許せない。
何時でも抱けると思っている。それが腹立つ。
照哉はベッドに寝転がると目を閉じた。
そして、そのまま眠りに落ちた。
◆◆◆
「照哉さん」
東雲が寝室を訪れた時、照哉は熟睡していた。
ベッドで寝息をたてている照哉に近付く。
寝顔が凄く可愛い。
「照哉さん……可愛い」
ベッドに座り、照哉の頭を撫でる。
「ん……」
頭を撫でられた照哉が声を出したので起こしたのかと顔を覗き込む。
「……の……ば……」
寝言が聞こえた。
「照哉さん」
東雲はまた照哉の頭を撫でる。
「ん……やっ……やだ……」
ピクっと身体を硬直させる照哉。
どうしたのかと東雲は身体を揺する。
「ん……いや……や……だめ……」
何がダメなのだろう?
「照哉さん?」
うなされているような照哉の身体を揺する東雲。
「きらい……だ……お……なんて嫌い」
「照哉さん?」
東雲は照哉の頭を撫でて、なんとか安心させようと身体を抱きしめた。
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