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ちょっと強気な子羊ちゃん 2話

◆◆◆ まだ、子供だった。心も身体も……。 海で遊ぶのが好きで周りの大人達は日に焼けた漁師でガッシリとした人達が多くて、その男が現れた時……男を見て綺麗だなと思ったのは初めてだった。 テレビや雑誌で見る芸能人に負けないくらいに綺麗でスタイルか良くて背も高かった。 いつの間にかその男に照哉は懐いてしまった。 男は頭も良く話上手で色んな話をしてくれた。海外の話や、雑学。勉強も教えてくれた。彼のおかげで苦手だった数学で良い点取れるようになっていた。 照哉は英語が得意で、それは祖父がアメリカ人だったから。そして祖父は軍人だった。 男は祖父と知り合いだったようで、照哉の前に現れたのは祖父が居たからだったみたいだ。 「薫」 「お前、年上呼び捨てとか舐めてんのか?」 名前呼び捨てしたらそういう風に言われたけれど、笑って頭を撫でられた。 その「薫」に頭を撫でられるのが好きだった。 良い点取ってきた時も撫でてくれたし、きっと頭を撫でるのがクセなんだろう。それとも照哉を子供だと思っていたのか……。 「俺も外国いきたい」 「じいちゃんの国連れて行って貰ってないのか?」 「小さい頃に数回」 「じゃあ、大人になって自分で稼いで行ってこいよ」 「そうだけど……薫と行くの楽しそうだなって」 「なんだよ?俺に連れて行って貰おうって魂胆か?ふてえガキだな」 ふふっと笑うと頭を撫でた。 「だって、薫と行くと楽しそうじゃん」 「そうだな……お前と行くと楽しそうだ」 「じゃあ、連れて行って!!」 「本当、ふてえガキだな」 わしゃわしゃと髪をクシャクシャにされて「大人になったら連れて行ってやる!」と微笑んだ。 「本当?約束」 凄く凄く嬉しかった。 でも……、薫は結構敵が多かったみたいで、いつも側にまとわりつく照哉を灯とかいう弟と勘違いして拉致されそうになった。 その時に照哉をかばって薫は刺された。たくさん流れる血液に身体が震えた。死んでしまうんじゃないかって。もう、会えなくなるんじゃないかって……怖くて怖くて……そして、悲しくて。 「死ぬな馬鹿!!一緒に外国行くって言ったじゃんー!」 泣きながら叫ぶと「死なねーよ、バーカ!」と頭を撫でられた。 そして、涙を指先で拭われてキスされた。 初めてのキスだった。 ◆◆◆ 「……てるや……さん?」 良く知っている声で目を開けると東雲が自分を不安そうな顔で見下ろしている。 「あれ?どーした?」 東雲に手を伸ばす。 「凄くうなされてて」 「えっ?うなされてた?」 照哉はマジかよと思った。懐かしい夢。まだ、沖縄に住んでいた時の夢。 「うん……大丈夫?」 不安げな東雲をぐいっと引き寄せ、自分の上に乗せて抱きしめる。 「大丈夫!」 ぎゅっと抱きしめて、そのままくるりと身体を反転させて、東雲を自分の下にする。 「泣いてたから」 東雲は両手で照哉の顔に触れた。 「えっ?マジで?」 明るく声にする。元気な所を見せないと東雲が心配するから。 「どんな夢?」 「んー、忘れちゃった」 照哉は微笑んでそのまま東雲にキスをする。キスで誤魔化すわけではないけれど、誤魔化す事になるのかな? くそ!!マジかよ……アイツの夢見て泣くとかありえないんだけど? 東雲にたくさんキスして、たくさん触れて……不安を無くそうと必死だった。 東雲に触れると幸せな気持ちになれる。 「東雲……お腹空いた」 「はいはい」 東雲が起き上がろとすると「違う意味でのお腹空いただよ」と彼をまた組み敷くとキスを繰り返した。

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