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事件当時、昏睡している璃音から瑠維の執着を引き剥がす必要が生じた。
そこで、璃音への求愛を破棄した二人…弓削忍と小鳥遊玲が、執着剥がしを引き受け…。
深すぎる情の虚無を埋めるべく、瑠維へと求愛したという経緯があったのだ。
してしまった事の大きさを思い知って瑠維は深く深く悔いたし、龍嗣の愛情によって立ち直った璃音も瑠維の苦しみを受け入れて、二人は和解をしていた。
が。
やはり二人きりで会うというのは、少々緊張を伴う。
先に璃音が微笑んでくれた事で、瑠維も笑みを返すことができた。
「よかったら、茶…飲まねぇ?」
「ん。
瑠維の煎れた紅茶、飲みたいな…」
フワリと笑う弟をリビングへ通す。
一番お気に入りの茶葉を選び、ティーポットを用意する。
嬉しさと安堵を感じながら、ゆっくりお茶を煎れる。
そんな穏やかな時間は、なんだか少し擽ったかった。
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