29 / 181

お仕置き開始

 地下駐車場にバイクを停めると、タイミングを心得たように細身の男性が駆け寄って来た。 「昨夜の間に私の予定を入れ替えたのは貴方ですか?璃音さま」  明らかに怒っている男…弓削忍。  瑠維の伴侶の一人だ。 「そうだよ。  大体最近の弓削さんは働き過ぎ。  一大イベントを抱えてるからって、スケジュールを詰め込み過ぎてるのが解らないの?」 「し、しかし…」 「重役に抜擢されたばかりだから、手を抜いてる暇なんかない。  ある程度目処が付くまでは忙しいのも当たり前って?」 「…………っ」  図星を突かれたという顔の弓削。  普段は温和な璃音から、こんなにズバズバと言い切られて戸惑っているのだろう。  口をパクパクさせたままだ。 「ワーカホリックも程々にしないと、いつか瑠維に捨てられちゃうかもね。  はい、お弁当と着替え」 「あ…、ありがとうございます…」  弁当と着替えを受け取る弓削に視線を向け、軽くため息をつく。

ともだちにシェアしよう!