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その頃。
璃音の拳も、分厚い防弾金属が張られた床へ深く減り込んでいた。
「ちょっとやり過ぎたかな…」
一人ごちて弓削を肩に担ぐ。
璃音を気遣かって遮蔽シールドの外で待機していた龍嗣は、意識を失った弓削を担いで出てきた璃音に駆け寄った。
「…大丈夫か?怪我は…?」
「僕は大丈夫。弓削さんの方は全然大丈夫じゃないけどね…」
苦笑いをする璃音に手を差し出すと、やんわり制止された。
「着痩せしてるが、結構筋肉付いてるのに…。大丈夫か?」
「ふふ…。大丈夫だよ。
見た目弱っちい僕に担がれたの、後で語り種になって恥ずかしい思いしてもらうんだ。
暫くお母さんと僕に逆らえないかもね」
クスクス笑い、璃音は龍嗣に振り返る。
「ね、龍嗣。
瑠維の事が丸く収まったら、僕にご褒美くれる?」
「ああ。何がいい?」
「龍嗣との甘い一日に決まってるでしょ?」
「それでいいのかい?
一日と言わず、好きなだけにしてもいいのに。」
「そうしたら、僕は龍嗣から離れられなくなっちゃうじゃない」
「それでもいいぞ」
「本気にしちゃうってば。
ふふ…」
悪戯っぽく笑う龍嗣に璃音が軽いキスを贈ると、龍嗣は甘い啄みで返した。
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