63 / 181
・
「でもさ、顧問料ったって微々たるもんだろ?
俺はただ、頼まれたレシピ作っただけなんだし」
「瑠維。
少なくとも、今の年収の三倍以上は振り込まれてるよ。
だって、水上系列の病院だけじゃなく、評判を聞いた月見里(やまなし)学園全体の食堂や給食にも採用されてるもの」
「…………………」
璃音と猫の言葉が、未だに信じられない瑠維。
自分のレシピが、知らない内にあちこちで採用されていたなんて、考えてもみなかった。
「ご飯を作るしか取り柄がないって言ってたよね。
普通の人達だけじゃないんだよ。
いろんな制限が必要な患者さんにも美味しいって言って貰えてる。
沢山の人の役に立ってるんだよ、瑠維」
静かに話す璃音の瞳には嘘や偽りは見えない。
だけど、思ってもみなかったからこそ、俄かに信じ難いのだ。
ともだちにシェアしよう!