65 / 181
・
「どうなの?
ワタシが言ったのは間違ってるかしら」
したり顔の猫が瑠維の肩に飛び乗る。
「瑠維、アナタは自分に自信がないかもしれない。
だけど、沢山の場所で役に立っているし、玲や忍の給料にも貢献してるのよ。
いい?
必要以上に自分を低く見るのはやめなさい。
解ったワね?」
「…………でも…」
「でもじゃないの。
食べただけで食材や調味料を特定したり、味を忠実に再現できるなんて、普通の料理人には出来ない事よ。
一般のレストランのメニューだけじゃなく、内臓疾患の患者や重度のアレルギーの人間向けのメニューも完璧にこなしてるのに、それを取り柄だと思わないなんて、やっぱりそれは間違ってるワよ。
自信を持ちなさい」
ニヤリと笑い、猫は床に飛び降りた。
「みあの言う通りだよ、瑠維。
後でアレルギーに悩んでた女の子からのお手紙を持って来るよ。
どれだけ喜ばれてるのか、自分で解らなきゃ…、ね?」
「璃音…」
半信半疑の瑠維は、全員の顔を見回した。
ともだちにシェアしよう!