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「さて、そろそろお邪魔虫の僕達はお暇(いとま)しようか、みあ」
「そうね。
飢餓に近い禁断症状な人達は放っておくに限るワね」
顔を見合わせて笑い、猫と璃音が帰り支度を始める。
「あ、俺も手伝うよ…っ」
瑠維が昼寝をしている珊瑚を抱き上げると、玲と忍も翡翠と雲母(きらら)を抱き上げた。
「ありがとう」
瑠維の部屋から出て、玄関へと向かう。
程よい時間と見たのだろう。
両親も大きな保冷バッグを手にキッチンから出て来た。
「……………何持って来たんだ?」
「ああ…、瑠維が作った三日分のお弁当だと思うよ」
「「三日分!?」」
驚く三人に、荊櫻がニヤリと笑う。
「瑠維が作った弁当の中身を、毎回璃音と晶がすり替えてたんだ。
私達が食べても構わないと思ったんだが、食い物の恨みは怖いと璃音が言ったからな。
全部急速冷凍して保存しといた。
後でゆっくり食え」
「全部…!?」
「すり替えてた!?」
弓削と玲はあんぐりと口を開けた。
成る程。
この三日間、弁当の味を感じなかった訳だ。
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