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「変なことなんか言ってない。
璃音にオイタをする前に比べたら、幼虫と蝶くらいの差があるって思うぜ。
それこそ、見事なメタモルフォーゼなんじゃねえの?」
「そうだぞ、瑠維。
俺達が伴侶になってから、お前はとても綺麗になった。
なんでもない仕種にも艶っぽさが混じって、しかも甘い香りで俺達を翻弄してる。
いや、しまくっているよ」
「……………っ!?
ばっ、ばか…ぁっ、あんた達、ホントにどうかしてるっ!!
何だよそれっ、何、変なこと言ってんだよ…っ。
馬鹿…っ、馬鹿じゃねえの…っ?
キザすぎて…砂吐いちゃうじゃ…ねっかよ…。
………………っふ…」
言葉のわりに、表情は少しずつ泣きそうな状態へと変わっている。
意地っ張りの瑠維から、泣き虫の瑠維へ。
「綺麗だし、可愛いよ。
瑠維が俺達の一番だから」
「そんなことない…っ。
璃音みたいのが綺麗だって言うんだ…っ」
「あんなお子ちゃまなんか、知るもんかよ。
比べるな」
「俺だって、あんた達から見たらお子ちゃまだろ…っ」
幼い頃から璃音に対して持ってきたコンプレックスが、瑠維を知らず知らずの内に頑なにしてきたのだ。
ボロボロと泣き出す瑠維に、何度も何度も口づけを落として宥める。
『誰が何と言おうと、俺達の瑠維が一番綺麗で愛しい。
絶対に離れないし、永遠に愛していく』と…。
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