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 ほわほわと、柔らかな香りが食欲を擽る。  母と弟が冷凍して取り置きしてくれていた玲と忍の弁当を、瑠維が温めたり味付け直しをしているのだ。  鶏牛蒡の煮物はご飯と合わせて炊き込み風ご飯に。  卯の花はヒジキや豆等を加えて巾着鍋に。  花野菜や根菜は彩りも見事な温野菜に。  海老しんじょうはカリカリに揚げ直した後に、霙あんかけをかけ。  中華風のスープも味付けをし直して、胃に優しいトロトロのスープになっていた。 「「いただきます」」  手を合わせて箸を取る。  パクリと一口入れると、忍と玲が固まった。 「な、なになになにっ!?  俺、なんか、味付け間違えた?  大丈夫かっ!?」  慌てる瑠維に、二人が首を横に振る。 「違う。  なんつーか、さ……………」 「物凄く……」 「…………………………やっぱりマズい!?」  最早泣きそうな顔の瑠維。 「「すごく旨い…」」

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