98 / 181
・
ほわほわと、柔らかな香りが食欲を擽る。
母と弟が冷凍して取り置きしてくれていた玲と忍の弁当を、瑠維が温めたり味付け直しをしているのだ。
鶏牛蒡の煮物はご飯と合わせて炊き込み風ご飯に。
卯の花はヒジキや豆等を加えて巾着鍋に。
花野菜や根菜は彩りも見事な温野菜に。
海老しんじょうはカリカリに揚げ直した後に、霙あんかけをかけ。
中華風のスープも味付けをし直して、胃に優しいトロトロのスープになっていた。
「「いただきます」」
手を合わせて箸を取る。
パクリと一口入れると、忍と玲が固まった。
「な、なになになにっ!?
俺、なんか、味付け間違えた?
大丈夫かっ!?」
慌てる瑠維に、二人が首を横に振る。
「違う。
なんつーか、さ……………」
「物凄く……」
「…………………………やっぱりマズい!?」
最早泣きそうな顔の瑠維。
「「すごく旨い…」」
ともだちにシェアしよう!