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 決められたモチーフを縫い付けていくキルトとは少し違う。  瑠維が縫っているのは、規則性のないものだ。  出来上がれば絵画のような仕上がりになる。  二人の為の料理を考える度に少しずつ花が増え、愛されて幸せを噛み締めるごとに、更に花と雪が増えていった。 「ふふ…っ」  今回の花は、随分緻密な仕上がりになった。  きっと、頭の中に思い付いた料理も二人を喜ばせる事ができるかもしれない。 「会心の出来になるかなぁ…」  ニコニコ笑う瑠維を見て、ソファーに座った二人が固まった。  瑠維が丁寧に縫い合わせ、大判の布へ縫い付けている様は、幸せに満ちていて可愛い。  しかも。  鼻歌まじりに縫い、時折クスクスと笑う顔が、どうにも艶っぽくていけない。  萌えを刺激して下腹が疼いて仕方ないのだ。  自分達の為の料理を考えている最中なのを邪魔したくない。  だが、可愛らしく微笑み、無意識に色香を振り撒く瑠維を襲いたい…。  焦れ焦れする気持ちを抑えるのに必死な玲と忍なのだった。

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