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「なんだ?内緒話か?」
風呂上がりの忍がバスタオルで髪をガシガシしながら入ってきた。
「ううん。
忍にも関係アリ。
今日思い付いたヤツの事」
「ああ…。
会心の出来だって言ってたメニューの事か。
頼むから、試作品が出来ても、俺達以外に試食させないでくれよ?」
「「……………………」」
「なんだ?
いきなり黙りこくって」
自分の言葉に黙る二人を、忍が訝しむ。
「………だって、玲と……同じ事言うから…。
反則だって…、んな駄々っ子みたいに………、ふふ…っ」
「仕方ないだろう?
お前の仕事以外の料理は、誰にも食べさせたくないのが本音なんだから…」
珍しく拗ねる忍に、瑠維も困ったように笑う。
「じゃあさ、試作品も絶対他の奴に食わせない。
約束する」
両の拳を差し出し、小指をピンと立てた。
「「………………………はい?」」
「約束っつったら、指切りに決まってんじゃん?
ほら、手ぇ出しなよ」
頬ん染めた瑠維が、上目遣いで両手を差し出してる仕種が何とも言えず、二人は硬直した。
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