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「…れい……」  唇の合わせ目から漏れるあえかな…、甘い甘い瑠維の声…。  その声を引き出したのが自分でない事が、忍にとって悔しい。  だが。  瑠維が玲だけに鳴いたのは、ほんの少しの間だけ。  これからその分を鳴かせてやればよいのだ。  サイドテーブルに琥珀色の液体が満たされた小さなグラスを置き、片膝をベッドに乗せて玲に縋り付く瑠維の頬を撫でてやる。 「ん……………っ」  忍の指先が触れた頬が疼く。  ジワリと熱を持ち、玲へと向けるのと同じくらいの恋慕の情が脳を焼く。 「おいで、瑠維」 「ん………」  緩められた玲の腕から抜け出し、忍の手を取る。  膝の上に乗り胸元に頬を擦り付けると、唇を指先でなぞられた。 「ん…、ん……っ」  ビクビクと震える唇を指で割り開く。 「今日の瑠維は特別に綺麗だから、ご褒美をあげようか」  優しく微笑む忍の顔は、一瞬で瑠維の心を射抜いた。

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