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「これは季節野菜のアンティパスト。
三人が好きな野菜を中心に作って貰ったよ」
確かに、三人が好んで食べる料理だ。
そして、味も良い。
「次は、地魚も入れたお皿。
冷たいのと、温かいのどちらかを選んでね」
冷たい方は上物の刺身が取れそうな新鮮な身を使ったカルパッチョ風。
煮凝りのジュレも散らしてあり、食欲をそそる。
温かい方は、細かいパン粉を使用して揚げ、野菜と重ねてミルフィーユ状にしてあった。
これらも、二人を唸らせる出来映えだ。
「次はお肉。
一つめは牛フィレ肉のステーキ。
二つめは鴨肉のロースト。
三つめはイベリコ豚と野菜のグリル。
最後は、キジ肉と野菜のグリル。
四つの内から選んでね」
一口ずつ頬張る。
やはり、どれもが絶品だ。
選べと言われて選べるものではない。
「ふふ…。
今まで全然口に合わなかったのに、頬が落ちそうなのが不思議でならないって顔してるね。
じゃ、次。
茸のリゾットと、スープも試食してみて」
悪戯っぽい顔で笑う璃音を不審に思いながらも、二人は試食をする。
「ね、おいしい?」
「…旨い。
すっげえ旨いよ」
「今までの試食が嘘のようです」
狐につままれたような顔の二人に満足げに頷く璃音。
「じゃ、シェフ直々にデザートをお願いしようかな。
お願いしま~す」
そうっとドアが開き、白いコックコートが見えた。
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