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「ねえ、弓削さん、玲。  瑠維はこうだと決めたら、梃子でも動かないのは判ってるでしょう?  二人に美味しいものを食べて貰いたいし、結婚式なら尚更だよ?  特別な日なら、二人だけじゃなくて、皆にも食べて貰いたいって思うのも頷ける。  だって、水上の中でも百年以上無かった二人伴侶なんだもの」 「「……………」」 「弓削さんと玲のご両親だって、思うところがある筈。  だからこそ、瑠維は自分の作った最高の料理を振る舞って、少しでも安心して貰いたいって思ってるんだよ?  そうでしょ?瑠維」 「あ、………ああ。  俺…、とんでもない我が儘プーだって思われてるだろ?  だから、忍と玲を大事にしてくんだ、きっと大丈夫だって安心して貰いたいんだ。  たかが料理だろって言われるかも知れないけど、俺の気持ちを伝えるのは言葉じゃダメなんだ」  タイをギュッと握り、瑠維は一生懸命言葉にしていく。  表情の硬かった二人が目を見合わせ、頷く。 「判った。  瑠維の願いなら、そうしよう」 「言うこと聞かなきゃ、一生恨まれそうだ。  それだけは絶対嫌だしな」  漸く納得した二人に、瑠維と璃音は胸を撫で下ろしたのだった。

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