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 清楚な白の紗(うすぎぬ)は、水上一族の結婚式での花嫁の象徴だ。  たとえ花嫁が男であっても。  白い狩衣に白の紗、守り刀を身につける。 「似合うよ、瑠維」  少しズレていた部分を直し、切なげに璃音は笑う。 「ね………、あの二人の花嫁になる前に、謝らせて貰っていい…?」 「璃音?」  ゆっくりと息を吐く。  気持ちを固めるように。 「瑠維。  小さい頃から、沢山傷付けてきてごめんね」 「……………」 「瑠維の心を深く深く傷付けて、ごめんね…。  僕を愛してくれたのに応えなかったのも、瑠維の想いを受け止めなかったのも…」 「…………璃音?」 「鈍感な僕は、瑠維を傷付けてばかりだったから、謝らなきゃって思って…でも、言えないままだった。  瑠維を傷付けてごめん…。  心を壊してごめんね………」  ホロリと零れる涙は、頬を伝って狩衣に落ちた。 「謝るなよ。  俺だって、璃音に酷いコトしたんだから。  エロ魔神がいなきゃ、あのまま死んでたかもしれないんだぞ?」  堪らなくなった瑠維は、璃音の頭を撫でる。  宥めるように。  慈しむように。

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