141 / 181

「………でも…っ」 「謝るなよ。  元はと言えば、俺が璃音に甘噛みした事から始まってるんだ。  色んな事があって、璃音はエロ魔神の嫁になって、俺はあの二人の嫁になる。  俺達はお互いに伴侶になりえなかったけど、その分あいつらに尽くしてく。  それでいいと思う。  だから、璃音はもう謝るな。  兄ちゃんの命令だからな?」 「久しぶりに聞いた…。  兄ちゃんの命令…って…。  ふふ…っ」  一生懸命笑おうとしてるのに、次々零れるのは涙ばかり。  兄の門出を寿(ことほ)ぎたいのに、言わなければならないのが詫びの言葉しかない。 「瑠維。  これからは、あの二人を全力で愛していって。  僕に向けていた気持ち以上のものを注いでいくんだ。  二人に同じ深さの愛情を向けてくのは、瑠維にしか出来ないことだから。  いっぱい愛して、二人からいっぱい愛して貰って。  心だけじゃなく、魂の底まで満たして満たされる関係を作っていってね。  僕は瑠維に対して出来なかったから、そう願ってる」  はらはら零れる涙は、狩衣に音をたてて落ちる。  瑠維も、璃音も…。

ともだちにシェアしよう!