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「………………っふ…」  労りと優しさを胸の中に吹き込み、玲と忍への愛情を新たに孕むための場所が、瑠維の心に出来ていった…。  そっと離れ、ほうと息をつく。 「これで、瑠維はもうあの二人に対して引け目は何もないね?」  ホロッと零れた涙を拭き、泣き笑いの顔になる。 「幸せになって、瑠維」  瑠維の涙も拭き、ずれた紗を直して璃音はゆっくりと振り返った。 「璃音、いいか?」  気遣わしげに扉を開けたのは母だ。 「ん…。  多分大丈夫だと思う。  一応、確かめてみて」 「ああ」  細身の女性なのに、母が歩くと地響きがするような気がする。  ズシン…という重低音を響かせ、二人の前に立った母は、そうっと瑠維の胸に手を当てた。 「……………………。  そうだな。  この間、禁断症状になった時みたいなザワザワしたのが無くなってる。  うまく霧散させたな」  少し自嘲気味な顔で笑うのは、瑠維がずっと気掛かりだったからだ。  必要以上に璃音と引きはがしたせいで、瑠維の心を刔ってしまったのだと気に病んでいた荊櫻。  式までの間も何くれとなく様子を窺い、璃音の時以上に恙無く進む様に取り計らってくれていたのだ。  それは、一族最凶の女ではなく、ただの一人の母親として気持ちを向けていたのだと、今更ながらに気づいた。

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