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 荊櫻と璃音が新婦側の席に着き、巫女姿の翡翠と雲母(きらら)が瑠維の手を引く。  紗から透けて微かに見える瑠維は、瞼を伏せがちにしているのもあり、楚々とした風情だ。  弓削家と小鳥遊家の席からも、感嘆の息が漏れた。  恐る恐る前に歩いていく瑠維を、跪いた二人が待っている。 『どうしよう…、緊張して足がガクガクする…』  時折足が止まる瑠維に、手を引く双子が笑いかける。 「るぅたん、大丈夫よ」 「わたしたちがついてるもの」  緊張のあまり足が止まる新婦に、新郎側の席からは「鬼夜叉の子とは思えないくらい、奥ゆかしい」「なんと可憐な」との声も上がった。 「緊張しいなのが幸いしたな」 「普通の女子より乙女だもんねえ…」 「誰かさんにそっくりだから、あれはかなり得をしてるな」  荊櫻と璃音の呟きに、隣に座った晶が吹き出しかける。  普段キツい言動をすることもあるが、根はオトメンな瑠維は兄妹六人の中で一番晶に似ている。  初めて瑠維を見る者達も、概ね好印象を持ったようだ。

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