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 式は、普通の神前結婚と似ていた。  当主が参列者全員のお祓いをし、祝詞を唱え…。  年長の玲が注がれた神酒を飲み干し、瑠維に盃を手渡し。  受けとった瑠維の盃に神酒が注がれ、三度に分けて飲み干す。  次の盃は、瑠維から忍へ手渡され。  三つめの盃は、忍が飲み干した。  次いで、本家当主が結婚指輪を差し出した。  瑠維の指に忍が指輪を嵌め、次いで玲が瑠維に指輪を嵌める。  指輪自体が蔦のようなデザインになっており、二つの指輪が絡まり合うようになっている。  また、二つの指輪の間にルビーとダイヤが配置され、瑠維への永久の愛を誓う意味が篭められていた。  そして、玲と忍の指に瑠維が指輪を嵌める番になった。  …が。  緊張の余りに中々指輪が嵌まらず、二人が瑠維を宥めるようにする一幕もあり…。 「鬼夜叉の子らしくない、なんと奥ゆかしい花嫁だ」と、式場の中に温かな笑いが漏れ、微笑ましい雰囲気になった。  そして、誓嗣…誓いの言葉を玲と忍が読み上げた。  型通りの言葉の後に二人の想いも折り込まれていて、立ち会った全員が胸が熱くなる思いになり。  思わぬサプライズに、瑠維が涙を零した。

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