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「ありがとう、龍嗣」  柔らかく微笑み、頬に口づける。 「どういたしまして」  璃音の額やこめかみ、頬に口づけを落とす。  かつては男女の見境なく付き合い、取っ替え引っ替えしていたものだが、15歳の璃音と邂逅を果たしてからは璃音ひとりだけを愛してきた。  紆余曲折を経て結ばれたからこそ、忍や玲に便宜をはかってもいた。  一大コングロマリットの社長とは思えないくらい飄々としているこの男は、きっと年老いても変わらないのだろう。 「私も参列したが、本当に良い式だった。  意地っ張りの瑠維を、本当に大事にしてきたんだって分かったよ。  心の鎧が剥がれて、ようやく自分を出せたんだな…。  私が璃音を奪ってしまったから深く深く傷つけてしまったし、気になっていたんだよ」 「旦那様…」 「オッサン…」  タイを手に掴んだまま、瑠維も立ち尽くす。 「仮にも義弟なんだがな…。  いい加減、"おっさん"は卒業してほしいな、"お義兄さん"?」  ぞぞぞぞぞっ。  背筋に冷たいものが走り、瑠維は一歩退いた。 「うわ、やっ、やめ!!  アンタに"お義兄さん"なんて呼ばれたら、背中がザワザワして仕方ねぇしっ!!  瑠維でいいっ!!  今まで通り、瑠維でいいっ!!」 「ぷ…っ」  本気で嫌がる瑠維に、璃音と龍嗣が噴き出し…。  忍と玲、瑠維もつられて笑い出した。

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