156 / 181

Fleur de Fleurs

 長く感じた一日…。  家に着いた頃には、日付が変わろうとしていた。  荷物を整理したり洗濯機を回したいと言い出した瑠維。  仕方なく忍と玲が順に風呂に入り。  荷物の整理を終えた瑠維が漸く戻ってきて、寝室の隣に設えたバスルームに向かった。  何となく落ち着かない二人は、手持ち無沙汰な状態で瑠維を待つ。  何の気無しに左手に嵌められた指輪を外し、忍は瑠維がオーダーした内側の刻印を見た。 “Shinobu×Rui“ 「………………………」  日付と名前の刻印をオーダーしたのは知っていた。  が、  もう一つの刻印があったのだ。 “Dearest” “Dearest”………“最愛の人”と彫っていたとは…。  色々悩みに悩んで入れたのだと知っているから、その時の瑠維の気持ちや表情が目に浮かぶ。  最終的には、シンプルに一つの単語で表してしまうあたりは、瑠維らしい。  玲も指輪の内側を見て「瑠維らしいな」と、擽ったそうな顔になった。

ともだちにシェアしよう!