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二台の車は、住宅街を抜けて市街地を横切った。
学園都市の横を通り過ぎ、忍の職場である氷室重工本社ビルの前を過ぎ、緑地帯へ入る。
そこは、玲が勤務する青海メディカルセンターの手前だ。
「なんでここに……?
え………?えええっ!!!?」
綺麗に均された緑地の一画に、見慣れた白壁と海老茶屋根の家が建っていた。
「「は…、はあっ!?」」
瑠維だけでなく、玲と忍も、あんぐりとしている。
「えへへ。
びっくりした?
ちょっとだけ、頑張ってみたんだよ」
運転席の璃音がニコニコ笑った。
三人の家が、まったく変わらない状態で建っている。
しかも、隣の敷地の看板には「みなかみこどもクリニック建設予定地」とある。
「みなかみ…」
「こどもクリニック…!?」
「ふふ…っ。
驚いて貰えて嬉しいな。
お母さんも来たみたいだから、事情説明するね。
まずは、降りて貰おうかな~」
狐につままれたような顔で車を降りた三人の前に、荊櫻が歩いてきた。
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