「いや、本当にすまん。 　かなりびっくりさせてしまったな」 　苦笑いする荊櫻に噛み付いてもいいのか迷う玲と忍。 「きっかけはね、瑠維だったんだ」 「｢へ…？｣」 「だって、忙しくなると、二人とも帰れなくなるのが当たり前じゃない？ 　瑠維はお弁当や洗濯物を届けたりするのも嬉しいだろうけど、やっぱり大事な伴侶と長期間離れるのは辛いし。 　でね、お母さんと考えたんだ。 　本社ビルと青海に近いところに家を移しちゃえばいいんじゃないかって。 　そしたら、かなり楽になるでしょ？」 「｢……………｣」 「で、僕が抑えてた土地が本社ビルと青海の中間地点だし…。 　なら、ここに家を移して、ついでに三人の未来の職場を隣に作っちゃえって思ったんだ。 　玲…、玲義兄さんが院長で、忍義兄さんが事務長で、瑠維が料理長って。 　どうかな…。 　皆の専門性を生かせるし、青海だけだと小児医療がパンク状態だから…」 「｢……………璃音…｣」