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 沈み始めた夕日が完全に姿を消して校内は完全に闇の中へと堕ちた。  背後から微かに聞こえる足音が先生の物でないのは、共に聞こえる粘着音から簡単に分かる。 「やだ、やだ…」  なんで気付いちゃったんだろう。  クラスの他の誰も相加がクラスメイトだって信じていたのに。  どうしてオレだけ? 「―――――どこまで逃げるの?」  思いの外近くに聞こえた相加の声に怯んで足を止めた瞬間、何か細長い物がしゅるりと足首に絡みついた。 「わっ」  それが一気にオレを引っ張って…  バランスを崩したオレは床にぶつかる恐怖に咄嗟に目を閉じた。 「………っ」  いつまでも襲ってこない痛みに、そろりと目を開く。 「危ないなぁ怪我するよ?」  ひっと上げようとした声は怖さで出てこなかった。  先ほどは夕日のせいで光っていると思っていた相加の目が、闇に浮かぶ灯りのように赤く光ってオレを見据えている。  明らかに、人でないその姿に…  逃げようとしたが叶わなかった。  その粘着音を伴いながら動くソレが、オレの足首を掴んだモノだったらしい。 「い、   や   」  ぐじゅぐじゅと音を立てるソレの形をどう表現していいのか分からない。  ただ…そう、性器の先端を細長くしたような…が、一番近いかも知れなかった。 「君、俺を知らないだろ?」  その細長い物は信じられないことに相加の手首の辺りから何本か伸びていて、それぞれにうねうねと動いてオレをがんじがらめにしていた。 「   っ…」 「時々…稀って言った方が良いくらいだけど、いるんだよ。俺達の催眠が効かない人間が」  人間じゃないような口ぶりだと言い返したかったが、腕から生える触手を見てしまえばその言葉は出ない。

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