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「…ほらよ」
「え?いいの?」
「食え」
そう言うと、ひらりとスカートを揺らし、頭にリボンをつけると言う痛い姿の汰紀が腰を下ろした。
「………」
自分の分も握り直し、海苔に包む。
ああ、うん。
米は炊けるようになったんだな…
「兄貴はやっぱり上手だなぁ」
嬉しそうに絆創膏だらけの手でおにぎりを頬張る。
…待て。
この弁当(らしきもの)のどこに手を切る要因があった!?
などと突っ込んだら負けだろうな。
きっと…
「お前も上手に米が炊けるようになったじゃないか」
「ああ、ソレ。サ○ウのご飯」
この弁当(らしきもの)の…………………いかん、負ける。
あむあむとおにぎりを食らう汰紀に、それでもつい笑いが零れる。
小さい時から変わらない。
まだ仲がよかった頃、おやつ代わりに炊飯器に残っていたご飯で小さなおにぎりを作って一緒に食べていた事をふと思い出す。
一口サイズにもかかわらず頬張りきれなくて、頬や指にたくさん米粒をつけて…取ってやるとくすぐったそうに笑った。
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