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 入学時からそうだったと思う。  水と油、犬猿の仲…他に何があったっけ?  なんかいろいろ仲が良くないね…と周りから言われ続けた。  見た目からも正反対で…  あいつの黒髪。  オレの茶髪。  隙なく着込まれた制服。  着崩した制服。    風紀委員のあいつ。  オレは不良。  上位の成績と、下位の成績。  潔癖で、頑固。  軟派で、優柔不断。  生徒会長の傍に居るあいつと、  不良をまとめ上げているオレ。  つんと澄ました顔が気に食わない。    鉄仮面の面を、殴り飛ばしたくなる。  だからオレ達は事あるごとにぶつかった。 『…面白くねぇ…』 『文句があるなら、堂々と言い返したらどうだ?』  これも、何度繰り返したか分からない。  この次の文句も… 「ちぇっ…おぼえてろよ」  睨み合いの末のオレの捨て台詞に、周りがほっと溜息を吐いた。  その音を背後に聞きながら…オレはその場を後にする。  後をちょろちょろと、友人でもない舎弟でもないご機嫌取りが付きまとう。 「なんで引き下がるんですか!?」 「……」 「あんな生っちょろいヤツ、兵藤さんなら訳ないでしょ?」 「……面倒だから」  そいつは納得しきれない顔をしていたが、実際そうだ。風紀担当の教師に何か言われても堪らない。  まだ何か言いたそうなそいつを睨みつけて黙らせると、オレはついてくんなと言いつけて体育倉庫に向かった。

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