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 オレとこいつがこんな関係になって…お互いの立場的なもんから一切連絡は取り合わないと言う事に決めた。  こいつはこいつで、不良であるオレなんかとつるんでいる所を見られたら『風紀委員長』と言う肩書上まずい。  オレはオレで、風紀委員長のこいつと仲良くなんかしているなんて弱味は知られたくなかった。  だから、決めた。  風紀委員であるあいつと、不良であるオレが顔を合わせてもおかしくない場所で、 『…面白くねぇ…』 『文句があるなら、堂々と言い返したらどうだ?』 『ちぇっ…おぼえてろよ』  この三つのやり取りを。  『…面白くねぇ…』はオレの誘い。  都合がつくなら、  『文句があるなら、堂々と言い返したらどうだ?』  と返事が返り、  『ちぇっ…おぼえてろよ』  は、この場所を知らせる。  お互いの立場と、この関係を断ちたくないのを天秤にかけた結果だった。  しっとりとしたあいつの手に胸の突起を弄られて体中に電気が走った。 「弱いとこ、多すぎ」  小さく笑いながら、オレのシャツを捲って捏ねられるように触られていた赤い粒を舐める顔が…憎たらしい。 「…ぅっせ…」  図星過ぎて、反論なんてできない。  「あ…」とか「んっ」とか、あいつに胸を弄られる度に出そうになる声を止める為に両手で口を塞いだ。 「声、出せばいいのに…」  はぁ…と熱い息を吐いて体を起こし、オレのベルトに手を掛ける。  無表情で、淡々とベルトを外すと、それをするりと抜き取ってオレの手を掴んできた。 「へ?」  手がそれでぐるぐると巻かれて行く。 「な、何して…」 「拘束」  またも簡潔だ。  こいつの物言いは簡潔すぎて時々イラッと来る。 「い、や、ちょ…」  もたもたと手を解こうともがいているうちに、ぐるんとひっくり返されて腰を引っ張られた。  両手を巻かれて手で支える事の出来ないオレにその体勢は苦しくて、文句を言ってやろうとしたら尻がひやりと空気に触れた。

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