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 得てして、彼は本当にやりきった…  やり切りやがった…  いや、それはいいんだけどさ…  何故それをテストで見せてくれなかったんだ!?  …やっぱりオレが嫌いで……わざとあんな点数とってるんじゃないのだろうか!? 「兄貴、まだ寝ないの?」  就職に際し、一人暮らしを始めたはずのオレの部屋に当然のように住み着いた衛人が、狭いシングルのベッドの上からそう尋ねてくる。 「いい加減、布団買いに行って来いよ!いつまで一緒に寝るつもりだ?」  背が伸びに伸びた衛人は見上げるほどとなり、そんな奴と布団がないからと言う理由で一緒のベッドに引っ付いて眠っていた。 「オレ、寝た気がしないんだけど!」 「俺は快眠だからいい」 「お前は良くても、オレは眠れないんだよ!」  そう言うと、兄弟なのに全然似てない弟はにやにやと笑って返す。 「毎晩イビキかいて寝てんのに?」 「イビキなんかかいてないっ!」  ついつい頬が膨らむ。  ああ、いけない。  こんなことしてる場合じゃなかった。  早く寝ないと、明日…岡田と約束したご褒美の日なんだから…  結局4時間も寝れなかった…  しがみつくように寝ている衛人を押しのけてこっそりとベッドを降りる。  今日が休みの日だと知っている衛人を今起こすと、ついてくると言いかねない。だから細心の注意を払いながら勝負下着に着替え、用意してあった服を着て、身だしなみを整えてまだ薄暗い中を待ち合わせの場所へと急いだ。  早すぎるなんてことは重々承知だ。  でも、やっと今日と言う日を迎えて…じっと家で待つなんてできなかった。  はやる気持ちを抑えるために、少しでも動いていたかった。  ふふ…と顔がにやける。  1800年振りの花見だよ。  君はもう覚えてないかもしれないけど、二人桜を見て歩いたあの瞬間は今でも大事な思い出だし、いつまでも大切にしたい出来事だ。  桜を見てはしゃぎまわるオレを困ったように見ながら後をついてくる君のあの優しい瞳をもう一度見たいよ。  もう一度…あの目で……見詰められたい。

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