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君をひとりじめしたい 2

「もしかして、付き合ってるの?」  誰と誰が?なんてお約束の言葉を口にする気はない。 「ば、ばばば……バカ言うなよっ」  あいつにはオレがいてやらないとダメってだけで、そんな恋愛感情とか、とか、とか……  ────オレと、あいつの関係って、何 だ? 「あいつもオレも、男だろっ」 「の、割に距離感バグってない?」  そうは言っても、確かに距離は近い かも?  赤くなった顔を隠そうとしたけれど、耳まで熱いんだから隠しきれなくて誤魔化すために首を振った。  でも、あいつが飛びついてくるといい匂いがするし、筋肉も全然ないからぷにぷにしてて、腹なんかきっと一日中揉めるくらい気持ちいいし、体温も高いから冬とか一緒に寝るとメチャクチャ温かくて…… 「こんなもんだって!」  お互いの弁当を一口ずつ交換したり、  毎週末お泊り会したり、  普通 だよな? 「じゃあ、さ」  くるくると踊るピンクの指先を思わず目で追いかける。 「じゃあ、私が告っちゃっても止めないよね?」  思わず変な声を上げたオレを胡乱な目で睨むから、引っ込みがつかなくなって口の中でもごもごと「好きにすれば」って返事を言った。  だって、あいつとオレは幼馴染で、ちょっと他の奴らより仲がいいだけで、だからってあいつに彼女ができるのを止める権利なんかはオレにはなくて……  もやっとした胸の内のまま、手元に視線を落としてぷちぷちと爪を鳴らして口をへの字に曲げる。    ◇   ◇   ◇  僕の幼馴染は強情で意地っ張りで頑固で頑なで、それでいて困っている人を放っておけないお人よしだ。  ちょっと人と関わることの苦手な僕にも辛抱強く接してくれて、困っていたら僕の問題だって言うのに飛んできて全部解決してくれる。  赤いスコップを使えなかった時も、  じゃんけん大会で勝てなかった時も、  学年ダンスが覚えられなかった時も、  この先も一緒だって信じて疑わなかったのが覆された時も、  「なんとかしてやるから!」って胸をどんと叩いて解決してくれる。  それが頼もしくて嬉しくて、キラキラ輝いていて、出会った時から彼は僕の中で一等星だ。  ────そんな僕と彼の関係は、何 かな?  ちら と教室を覗き込むと彼はやけに女子と近い距離で話をしていて……  伸ばされた指先が触れそうなくらい近いのを見てしまうと、もやもやもやもやしてしまって、見ていられなくて思わずその場から駆け出してしまった。  昔から彼は人気者だからいろんな人と仲良くて、僕はその度に胸の辺りにもやっとしたような、ずきっとしたような、そんな感覚を覚えて嫌な気分になっちゃうんだけど。

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